「……で、ヒナタちゃんは何してるわけ?」

『え』

珍しく擬人化済みの雷士に少々ドキッとする。
……敢えてはぐらかそう、うんそうしよう!

『…び、びっくりしたー、雷士の擬人化姿あんまり見ないからドキっとしちゃったーあははー……』

「……は……!?」

『…』

…やばい、無意識の内に墓穴掘っちゃった…!なにやってんだあたしいいいぃぃぃ!
なんなの!?あたしは何がどうなってそう言ったの!?いやいや本心だけど!…あれ、本心なの…?
うわああああ分かんないよどうしちゃったのおおおぉぉぉ!?

「……今の本気?」

『うえっ!?え、えっと…!』

「なんであんなこと言ったの。…誘ってる?」

『ち、違っ…!』

「……じゃあ、なに?」

うっ……なんだか珍しく真剣だ。怒っているようにも見える。…なんで?

『…ら、雷士…怒ってる?』

「…怒ってないよ」

はぁ…と溜息を吐かれた理不尽。
この前の海の時(23話参照)もそうだったけど、偶に自分が雷士に抱いている感情が分からなくなる。
…あの時もちょっとドキってしたなぁ…。

『(氷雨なら分かるかな…この気持ち)』

鬼畜ラプラスこと氷雨は、実は物知りで知的な一面もあって頼りにしてる!ちょーっとスキンシップが激しいかな?なんて思うこともあるけど…。
うーん、雷士もいつの間にか寝ちゃってるし、聞きに行こうかな!



「…ドキドキする、ですか」

『う、うん…何かよくわかんなくて。…分かる?』

「…ふむ、そうですねえ…」

色々考えた挙句、氷雨に聞きに来たんだけど…。本を読むために擬人化していた氷雨は、読みかけの本を置いて考えた表情をしている。……どうやら氷雨でも難しいみたい。うーむ…誰なら分かるのかな。

「(…どうしましょうか。今答えを言えばヒナタ君は確実に告白という手段を取るでしょうから…やはり言わないという手段を取るのが正解でしょう)」

『氷雨?』

「ああ、気にしないでください。…すみませんが、分かりませんね…。そういった感情を抱いたことがありませんので。」

『うーん…そっか!ありがとね、氷雨!』

「いえいえ。こちらこそすみません」

『氷雨が謝った…!?明日は槍が降るんじゃ「おや、何か言いたいことでも?」いいえ言いたいことなどありません。ちょ…!ごめんなさい、お願いだかられいとうビームはやめて!』

「ふふ、愉快な子だ」

『こっちは全然愉快じゃないよ!?』

やっぱり氷雨はドSだ…!



『…なんであたしは澪姉さんに聞く、という手段を忘れてたかな…』

どう考えてもそれが一番早い。だって 澪姉さんってそういうの詳しいイメージあるし…。

『…よし、そうしよう!今ならまだ間に合うし!』

そうと決まればすぐ実行!忙しいかもしれないけど澪姉さんに連絡する。

ライブキャスター特有の機械音が聞こえて、澪姉さんは3コールで電話に出た。……え、早すぎない?

『もしも…≪ヒナタちゃん!どうしたのこんな時間に!≫…澪姉さん、ちょっと声キツ…』

≪ああごめんなさい、滅多にかかってこないからつい…それでどうかしたの?≫

『あ、うん!実はね…』


≪…ドキドキ…そう。≫

『うん…何だかよく分からないけど、雷士を見るといつも思うの。…何でかな?』

≪それはねヒナタちゃん。“恋”っていうのよ。≫

『…え、恋?』

≪そう。…ヒナタちゃんはね、雷士に恋してるのよ。…動悸が激しかったりとか、胸が苦しかったりとか…そうね、顔が赤くなったりする経験はない?≫

『…ぁ、この前の海の時…』

≪…海?≫

『サザナミタウンでシロナさんとダイゴさんにあったとき、海で遊んでたんだけど…雷士と泳いでて、…そうだ、浮気はダメだよって言われた…』

≪あら!それなら完璧に脈アリじゃない?良かったわね!≫

『…脈アリって…そうかなあ…あたしなんて可愛くないし、澪姉さんみたいに美人でもないし……なのに雷士はただかっこ良くて。…釣り合わないなあ』

≪あら、そんなことないわよ!きっと雷士は、何よりヒナタちゃんが可愛いって思ってるわ。…だって樹を牽制したこともあるらしいし!≫

『…え、』

≪落ち込むことないわ!きっと平気よ!≫

『…うん。ありがとう澪姉さん!…がんばってみるね』

≪ええ!成果の報告待ってるわ≫

『うんっ』



てな訳で告白しろ、と澪姉さんに言われました。
……でも無理だよおおおおっ!
今は何とか頑張って雷士を外に連れ出したところ。でも絶対無理…っ!!!無理無理無理、だってなんか、顔熱いって…!

「…ヒナタちゃん、どうかしたの?何かあった?」

うぅ、いつになく優しい雷士の気持ちが今は痛い!

「…ヒナタちゃん?」

『ふぇっ!?あ、え、えっと…』

…えーい、覚悟を決めろあたし!言うって決めたんだから!

『…あ、あのね!』

「…?うん。」

ダメだ。恋してるって意識するだけで雷士が世界一かっこ良く見える…。誰か助けてええええ!てか、誰でもいいから雷士の目にフィルターかけてええ!今だけでいいからあたしを美少女にしてええええ!
…なんか荒ぶってるよおおお!あたしここまで荒ぶったの初めてかもおお!

『…あ、あたし…ね。その…ら、雷士のことが…』

「…」

『…す「ストップ」…へ?』

え、なに?ちょっと待って、今ストップとか…本当にキツイよ?いやいやあたしの勇気は?誰か褒めて。…え、なに?ほんとになに?す で止められるとか本当なんなの?え、ちょ、なんか泣きそう。

『雷士?何を「好きだよ」………………え』

「反応遅いね、ヒナタちゃん」

……………はい?え、待って、あたし、……え?
…雷士が、あたしを?え、ちょ、待って、え、

『ら、雷士』

「ヒナタちゃんが言おうとしてたのってこれでしょ。…ここまで長かったね。」

『…え…』

思考回路がショート寸前まで来てるんだけど…
え、つまり雷士は、あたしのこと、

「…好きだよ、僕も。ヒナタちゃんのことが、多分
誰よりも。」

『…らい、と』

「…一応聞くけど、ヒナタちゃんは?」

小首傾げてる雷士も可愛いなあ、なんて考えているあたしは…多分きっと、重度の雷士好きなんだろうな。

ああ、もうなんでもいい。ここに誰がいたって、誰が見てたって、関係ない。
だって、雷士があたしを…好きだって言ってくれたんだから。…それなら、あたしの答えは一つだよね。

『……あたしも好きっ!』
時には素直になって


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(ところで雷士、どうしてずっと擬人化してたの?)

(え?だってキスできないでしょ)

(……え、)

(どうでもいいけどヒナタちゃん、ちょっと黙っててね)

(…ぇ、あ、ちょっとらい…んむっ!?)

((…かわいい))


end

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