「そっか。じゃあその時に知り合ったんだね。獅闇も」
「うん!雷士もあの時と変わらなくて、なんか安心したー!」
『そんなちょっとの間に僕が豹変してたらそれはそれでちょっと怖いよね』
あはは!確かにー!
雷は笑いながら、チーズケーキの最後の一口を口に運んだ。
雷士も器用にフォークを使いながら、もぐもぐとケーキを咀嚼している。
雷や雷士から彼らが知り合った経緯を聞きながら、お茶会は楽しく進んでいた。
疾風もすっかり打ち解け、2人の話の輪に入って楽しそうにしている。
まるで保護者のような気分でそれを眺めている奏はふと視線の合った疾風ににこりと微笑みかけた。
疾風はそれに少し目を見開き、ぱっと逸らす。
なんだか、少し、恥ずかしい。
それを気にする風もなく、奏は口を開いた。
「疾風は、同じフライゴンだね」
「!?そ、奏さんもそうなんですか?!」
「うん。フライゴン同士仲良くしようね」
同族特有の雰囲気みたいなものが彼を確信へと導いた。
出会ったときからなんとなくわかって、余計放っておけなかったという。
奏のその言葉に疾風は嬉しそうに笑いながら「はい!」と元気よく返事をした。
その応えに満足そうにしていると、リビングの電話が鳴り響いた。
「ちょっと待っててね」
奏は立ち上がり、電話に出る。
「はい、もしもし?……え?」
電話の相手はシスイだった。
【あ、奏?もしかして、そこに雷士くんと疾風くん?がいたりしない?】
なんでも、はぐれたことに気づいたらしい彼らの主人が焦って、シスイに連絡したらしい。
自分たちがいたところがちょうどミナモだったし、すぐにシスイが思い浮かんだという。
奏はうちに二人共いる旨を伝え、ポケモンセンターで待ち合わせることにした。
シスイはまだ用事が終わらなくて、一緒には行けないから彼らによろしくと伝言を頼んで電話を切った。
「ま、マスターに会えますか!?」
『よかった…』
「うん、ポケセンで待ち合わせてるから行こうか」
「よかったね!雷士、疾風!」
雷の言葉に疾風と雷士は大きく頷いた。
そして。
「!!雷士!疾風!」
ポケモンセンターに入ると、一目散にこちらに駆けてくる綺麗なオレンジ色の髪を持つ可愛らしい少女。
彼女が彼らの主人に間違いないようだ。
「マスター!!」
『ヒナタちゃん』
感動の再会さながらに、疾風と抱き合う少女とぱぱっと彼女の肩に飛び乗る雷士を見ながら、奏たちも安堵の息を吐いた。
よかった。
これで一件落着というものだ。
「あ、あの!ありがとうございました!雷くんと…えっと…」
「奏です。どうぞよろしく」
「奏さん!よろしくお願いします!あたしはヒナタっていいます!!なんとお礼を言っていいか…」
ヒナタのその言葉に奏は微笑むと、包みを差し出した。
綺麗な風呂敷で包まれたそれにヒナタは首を傾げた。
雷も嬉しさを隠しきれないように笑いながら、ヒナタたちを見つめている。
「今日、みんなで食べたんですよ。俺が作ったもので申し訳ないんですけど、よかったらみなさんで」
多く作りすぎちゃって。
にかっと笑う奏を見ながら、ヒナタは受け取ってしまってもいいのかと迷い、オドオドしている。
はぐれたところを救ってもらったというのに。とヒナタは思いながらその手は宙を彷徨っていた。
すると、雷がその手を取ると、風呂敷包みを持たせた。
そしてまた綺麗に笑う。
「奏のね、作ったやつ、チーズケーキだけはおいしいから大丈夫だよ!変なものも入ってないし!」
「ちょっと雷、それどういう意味!あと“だけは”ってなに!?“だけは”って!」
そのやり取りにヒナタたちは思わず笑ってしまった。
そして、素直に包みを受け取り、再度お礼を言う。
「本当にありがとうございました!あの、シスイちゃんにもよろしくお伝えください!」
「はい、承りました。道中お気をつけて。疾風、雷士くん、またね!」
「疾風、雷士!また遊ぼうねー!!!」
雷と奏は手を振り、彼女達を見送る。
それに疾風も雷士も応える。
「うん!ありがとう!雷!!奏さんもー!!」
『雷、奏さん、またね、お茶ごちそうさまでした』
そうして。
彼女達の背中が見えなくなるまで、奏たちは見送っていたのだった。
「あーあ。行っちゃったーー」
「さ、帰るよ雷。シスイたち帰ってきちゃう」
また会えるよきっとね。
奏が雷の頭をひと撫でし、踵を返す。
「うん!」
雷も奏を追いかけると、肩を並べて歩き出した。
いつの間にか、太陽が傾きかけている。
今日の出来事を思い返しながら、奏たちは彼らとまた出会えるようにと願うのであった。
end
「うん!雷士もあの時と変わらなくて、なんか安心したー!」
『そんなちょっとの間に僕が豹変してたらそれはそれでちょっと怖いよね』
あはは!確かにー!
雷は笑いながら、チーズケーキの最後の一口を口に運んだ。
雷士も器用にフォークを使いながら、もぐもぐとケーキを咀嚼している。
雷や雷士から彼らが知り合った経緯を聞きながら、お茶会は楽しく進んでいた。
疾風もすっかり打ち解け、2人の話の輪に入って楽しそうにしている。
まるで保護者のような気分でそれを眺めている奏はふと視線の合った疾風ににこりと微笑みかけた。
疾風はそれに少し目を見開き、ぱっと逸らす。
なんだか、少し、恥ずかしい。
それを気にする風もなく、奏は口を開いた。
「疾風は、同じフライゴンだね」
「!?そ、奏さんもそうなんですか?!」
「うん。フライゴン同士仲良くしようね」
同族特有の雰囲気みたいなものが彼を確信へと導いた。
出会ったときからなんとなくわかって、余計放っておけなかったという。
奏のその言葉に疾風は嬉しそうに笑いながら「はい!」と元気よく返事をした。
その応えに満足そうにしていると、リビングの電話が鳴り響いた。
「ちょっと待っててね」
奏は立ち上がり、電話に出る。
「はい、もしもし?……え?」
電話の相手はシスイだった。
【あ、奏?もしかして、そこに雷士くんと疾風くん?がいたりしない?】
なんでも、はぐれたことに気づいたらしい彼らの主人が焦って、シスイに連絡したらしい。
自分たちがいたところがちょうどミナモだったし、すぐにシスイが思い浮かんだという。
奏はうちに二人共いる旨を伝え、ポケモンセンターで待ち合わせることにした。
シスイはまだ用事が終わらなくて、一緒には行けないから彼らによろしくと伝言を頼んで電話を切った。
「ま、マスターに会えますか!?」
『よかった…』
「うん、ポケセンで待ち合わせてるから行こうか」
「よかったね!雷士、疾風!」
雷の言葉に疾風と雷士は大きく頷いた。
そして。
「!!雷士!疾風!」
ポケモンセンターに入ると、一目散にこちらに駆けてくる綺麗なオレンジ色の髪を持つ可愛らしい少女。
彼女が彼らの主人に間違いないようだ。
「マスター!!」
『ヒナタちゃん』
感動の再会さながらに、疾風と抱き合う少女とぱぱっと彼女の肩に飛び乗る雷士を見ながら、奏たちも安堵の息を吐いた。
よかった。
これで一件落着というものだ。
「あ、あの!ありがとうございました!雷くんと…えっと…」
「奏です。どうぞよろしく」
「奏さん!よろしくお願いします!あたしはヒナタっていいます!!なんとお礼を言っていいか…」
ヒナタのその言葉に奏は微笑むと、包みを差し出した。
綺麗な風呂敷で包まれたそれにヒナタは首を傾げた。
雷も嬉しさを隠しきれないように笑いながら、ヒナタたちを見つめている。
「今日、みんなで食べたんですよ。俺が作ったもので申し訳ないんですけど、よかったらみなさんで」
多く作りすぎちゃって。
にかっと笑う奏を見ながら、ヒナタは受け取ってしまってもいいのかと迷い、オドオドしている。
はぐれたところを救ってもらったというのに。とヒナタは思いながらその手は宙を彷徨っていた。
すると、雷がその手を取ると、風呂敷包みを持たせた。
そしてまた綺麗に笑う。
「奏のね、作ったやつ、チーズケーキだけはおいしいから大丈夫だよ!変なものも入ってないし!」
「ちょっと雷、それどういう意味!あと“だけは”ってなに!?“だけは”って!」
そのやり取りにヒナタたちは思わず笑ってしまった。
そして、素直に包みを受け取り、再度お礼を言う。
「本当にありがとうございました!あの、シスイちゃんにもよろしくお伝えください!」
「はい、承りました。道中お気をつけて。疾風、雷士くん、またね!」
「疾風、雷士!また遊ぼうねー!!!」
雷と奏は手を振り、彼女達を見送る。
それに疾風も雷士も応える。
「うん!ありがとう!雷!!奏さんもー!!」
『雷、奏さん、またね、お茶ごちそうさまでした』
そうして。
彼女達の背中が見えなくなるまで、奏たちは見送っていたのだった。
「あーあ。行っちゃったーー」
「さ、帰るよ雷。シスイたち帰ってきちゃう」
また会えるよきっとね。
奏が雷の頭をひと撫でし、踵を返す。
「うん!」
雷も奏を追いかけると、肩を並べて歩き出した。
いつの間にか、太陽が傾きかけている。
今日の出来事を思い返しながら、奏たちは彼らとまた出会えるようにと願うのであった。
end