一方その頃。一気に暗くなった室内にトレーナーやギンガ団たちは焦っていた。

「!な、なんだ停電か!?」

「ぶ、ブレーカー!ブレーカーはどこだ!?」

「(ユイちゃんちゃんとブレーカー落とせたみたい。良かった…さて、私も行動しようか!)」

コソコソと一応見つからないようにソファの影に隠れながら静かに歩く。そしてブレーカーを上げに行ったギンガ団が置いていったボールが入った袋に近づいた。ギンガ団は停電のことで頭がいっぱいみたいでこちらには気づいてない。

「(チャンス!)」

静かに、バレないように袋を開けて適当にボールを投げる。出来れば雷士たちが出て来てくれたら嬉しいけど、今はそうも言ってなれないよね。ポンッ!と音を立てて開いたボールから出てきたのは見慣れた青い犬のようなポケモン。

「!蒼刃!」

『ヒナタ様!ご無事ですか?』

どうやら蒼刃のボールだったようだ。そのことに安心してほっと息をつく。

「うん!蒼刃ギンガ団を倒すよ!」

『はいっ!ヒナタ様』

「ヒナタちゃん!」

「ユイちゃん!」

「!あ、蒼刃くん!やったねヒナタちゃん!」

「うん、さぁユイちゃんも!」

ヒナタちゃんが指を指す方にあったのは たくさんボールが入っている袋。私はその袋からふと目に入ったボールを取りそれを高く投げた。

『私を出すのが遅いですよ、マスター』

「ごめん蒼陽!」

『まぁいいですけどね』

私がとっさにつかんだボールは蒼陽のボールだった。出てきた蒼陽は出ていた蒼刃君の隣に並んで戦闘態勢に入った。そしてギンガ団の1人がブレーカーを上げ電気がついた瞬間、攻撃は始まった。

その後は速かった。私とヒナタちゃんは指示を出してでギンガ団を倒していく。それを見たギンガ団もポケモンを出して戦う……まるで一種の戦争のような感じ。そして私たちがギンガ団を相手にしている間に他のトレーナーたちは自分のポケモンを助けにいっている。

「ふぅ…やっと終わったぁ」

「ユイちゃんお疲れさま」

「本当一時はどうなるかと思ったぜ」

「紅矢は何もしていないでしょう」

「まぁまぁ!ケンカはダメだよ!」

ケンカしそうになった紅矢君と蒼刃君をヒナタちゃんが止める。こんな平和な風景からは先ほどのことがあったとは思えない。他のトレーナーたちも落ち着きを取り戻して、明日に延期になったコンテストの準備をしている。そして受付けでは先ほどの事件のことでバタバタとジョーイさんとラッキーが働いている。

「あっ、そういや雷士たちはいつイッシュに戻るんだ?」

「今日中にはもう帰るよ。あっちにめんどくさいのがいるからさ」

いつの間に仲良くなったのか幸夜と雷士君は恒例のUNOをしながら話をしている。前の勝負では決着がつかなかったらしい。その傍らでは蒼陽が蒼刃君にどうやったら上手く波動が操れるようになるのか講義を受けている。そして他のメンバーはその光景を静かに見守っていた。



ソノオタウン入り口前。

「ヒナタちゃんとはここでお別れかぁ……さみしいね」

「うん…。またシンオウに遊びに来るね!」

「本当に?待ってるね!」

「うん!今回、コンテストは残念だったけどシンオウのポケモンも見れたし、貴重な体験も出来たし、いろいろユイちゃんのおかげだよ!」

「そんなことないよ!ヒナタちゃんがいなかったらギンガ団倒せなかったかもしれないし、お礼を言うのはむしろこっちだし気にしないで!」

「うん。今度はちゃんとコンテストを見たいな」

「あははっ、コンテスト延期になっちゃったしね」

「それがとっても残念だった!」

『…ヒナタちゃんいつまで話し込んでるつもり?帰らないの?』

いつもの定位置…ヒナタちゃんの頭の上に乗ってる雷士君はちょっと不機嫌そうに見える。さっきからこの場所でずっと話してたからなぁ。

「ご、ごめん雷士!じゃあまた会おうね!あ、これ私の連絡先ね。また連絡してユイちゃん!」

「もちろんだよ!なら、これは私の連絡先だよ。ヒナタちゃんは元気でね」

そうして私たちはお互いの連絡先を交換した。2人の手の中にある小さな紙は2人がまた会うための大切なもの。ヒナタちゃんはとてもかわいい笑みを浮かべてる。そんなヒナタちゃんに私は大きく手を振った。ヒナタちゃんに見えるように。ヒナタちゃんも大きく手を振り、そうして歩き出した。



end

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