捧げ物 | ナノ





「ズルッグ!とびひざげりだ!」

「ザングース!ブレイククロー!」

『かわして嵐志!』

〈おう!〉

「あ、アークくんもかわして下さい!」

〈分かってる〉


ライナちゃん前よりずっと落ち着いてる…!きっと大丈夫だね。さて、自滅したズルッグには悪いけど…あたし達も負ける訳にはいかない。さっさと終わらせないと!


『嵐志!アークくんと息を合わせて!』

〈りょーかい!行くぜアッくん!〉

〈…はぁ、お前元気だな〉

「ヒナタさん…?」

『ライナちゃん、一緒にいくよ!』


ゾロアークといえばあの技だよね!ニッと笑ってライナちゃんに耳打ちする。するとライナちゃんもあぁ!と言ってニッコリ笑ってくれた。嵐志とアーク君もあたし達を見て目配せをしている。よし、それじゃ声を揃えて!


『「ナイトバースト!!」』


ゾロアーク2体のナイトバーストはかなりの迫力。相手のズルッグとザングースもその凄まじい威力に一撃で目を回してしまった。つまりはあたし達の勝利!


〈やるなーアッくん!ナイスだぜ!〉

〈お前もな〉


「く…っまたこんな失態を…!」

「とにかく退くぞ!覚えてろよお前達!プラーズマー!」


プラズマ団2人はお決まりのセリフを残して走り去っていった。ふっふっふ、どうよこのゾロアークコンビ!


「か、勝ちました!勝ちましたよアークくん!おまけにアークくんが私の指示を聞いてくれましたー!」

〈…喜びすぎだろ〉

『それくらい嬉しいんだよアークくん!ねー嵐志?』

〈だな!〉


確かに前はアークくん自分でバトルしてたしね…ライナちゃんにとってはかなり嬉しいことなんだと思う。だからある意味このダブルバトルはいい機会だったかもね。


『お疲れ様2人共!本当にありがとうね、来てくれなかったらヤバかったよー』

「焦ったぜー姫さん!でも無事でよかったな!」

「アークくんもありがとうございます!怪我がなくてホッとしました!」

「俺がそんなヘマする筈ないだろ」
  

擬人化した2人を早速労う。アークくんも顔には出さないけどライナちゃんが無事で安心したんじゃないかな!


「ヒナタちゃん、何かあったの?」

『あ、雷士!』


あたし達が喜び合ってると人集りをくぐり抜けて雷士が姿を現した。その手に持っている小さな紙袋…おぉう、それはまさか!


「あぁそうだ。ほらコレ、ちゃんと買えたよ」

『やったぁあああありがとう雷士!!』


雷士君最高!やる時はやる子!影の功労者、雷士のお陰で無事欲しかったマニキュアをゲット出来ました。


「ヒナタさん、それは…?」

『カミツレさんプロデュースの限定マニキュア!今日ライモンに来たのはこれ買う為だったんだー!』


紙袋から取り出したそれをまじまじと眺める。うわぁデザインも可愛い…!さすがカミツレさん!尊敬します!


(…あ、そうだ!)


いいことを思いついたあたしはライナちゃんに向き直し満面の笑みを浮かべる。そしてキョトンとしてる彼女の手を引いて近くのベンチへ座ってもらった。


「え、えぇと、何でしょうかヒナタさん?」

『あは、ちょっとね。ジッとしててね!』


?マークを浮かべているライナちゃんを余所にいそいそとマニキュアを開けるあたし。嵐志とアークくんも手元を覗き込んできた。

ライナちゃん指細いなぁ…肌綺麗だし羨ましい。…よし、完成!


「おー、裁縫は苦手なのに上手いな姫さん!」

『素直に喜べないよ嵐志!』

「う、うわぁ…!可愛いです!」


あたしがライナちゃんの爪に塗った限定マニキュアはキラキラ輝いていて凄く可愛い。次にあたしの爪にも塗って、うん完璧!


『お揃いだよライナちゃん!あ、何ならアークくんにも塗ってあげようか?』

「俺はいい」

「ぶはっ、アッくん恥ずかしがんなって!」

「誰がだ!」


お、嵐志とアークくん何だか仲良しさんだね!友情が深まってあたしは嬉しいよ…!


「わ、もうこんな時間です!ゴメンなさいヒナタさん、私達のせいで…!」

『いいよいいよ気にしないで!こうしてマニキュアは買えたしライナちゃんとも会えて嬉しかった!』


また会いたいと思ってたし、一緒にバトルも出来て楽しかったよ。そう言って笑うとライナちゃんも可愛い笑顔を見せてくれた。


「ヒナタちゃん、僕達もそろそろ帰らないと蒼刃がうるさいよ」

『あ、そうだね。心配させちゃうかも…』

「では…私達も行きましょうかアークくん。ヒナタさん、本当にありがとうございました!」

『ううん、こちらこそ!元気でねー!』




「なーアッくん、もうちょっと笑ってやれよ。せっかく男前なんだし!それになっちゃん喜ぶぜ?」

「…別に俺はアイツを喜ばそうなんて思っていない」

「はー全く素直じゃねーなぁ。ま、そこもアッくんの魅力だけど?」
 

お互いに別れを惜しんでいたあたしとライナちゃんは、嵐志とアークくんがこんな会話をしていただなんて気付きもしなかったんだ。





『さってと…帰ろうか2人共!』

「おう!」

〈ヒナタちゃん、約束〉

『もー覚えてるって!』


姿が見えなくなるまで手を振り合い別れたあたし達。やっぱり友達とのお別れは悲しいな…でもきっとまた会えるよね!


(次に会ったら…アークくんと嵐志のバトルとか見てみたいかも。)


2人共強いし決着つかなかったりしてね!うん、楽しみが増えて嬉しいな。


「姫さん、なっちゃんとアッくんきっともっと強くなるぜ!」

『だね!ライナちゃんの他の仲間とも会いたいよ』


あたしの右手を彩る鮮やかなマニキュア。同じ色を塗れる友達が出来て本当に嬉しい。ライナちゃんも…少しでもそう思ってくれてたらいいな。



(また会おうね、ライナちゃん!)



end


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