「さーてと…屋根とか登って探してーけどさすがにこんなとこで原型に戻るワケにはいかねーよな」
にしてもアッくんどこにいんだろーな。アイツなら何となく危なっかしいなっちゃんをこのまま放っとくなんてしてーと思うけど…。
「おーいアッくーん!!どこだー!!」
「デカい声で人を呼ぶな」
「うぉおビビった!!何だよいたなら声かけろよ!!」
同じゾロアークにビビらされるってちょっと悔しいぜ…まー良かった、アッくん見つかったしな。
「久し振りだなアッくん!オレのこと覚えてるか?」
「あぁ、嵐志だろ?」
「おーさっすが!さすがオレのダチ!」
「…お前結構恥ずかしいヤツだな」
まーまー照れんなって色男!
オレがいつものように笑っていると何か微妙な顔をしてそっぽを向いてしまった。…あーらら、コイツも中々複雑だな。
「というか何でお前が俺を探しているんだ」
「偶然アッくんとこのお嬢さんに会ってはぐれたって聞いたからな!ってそんなことより、お嬢さんが心配してたぜ?ったくはぐれんなよなー」
「言っておくが俺からはぐれたんじゃない、アイツが勝手にいなくなったんだ」
素直じゃねーなアッくんも!何かこーちゃんみてーだ。
聞くところによるとアッくんもやっぱり何やかんやなっちゃんが心配で探していたらしい。え、心配なんかしてねーって?隠さなくていいってオレしか聞いてねーし!
「そういえばお前は1人なのか?お前のところの連れは…」
「姫さんも今一緒に探してくれてんだ。心配してるし戻るぜアッくん!」
「お、おい…!」
アッくんの腕を掴み歩き出そうとした時、人間達のある会話がオレ達の足を止めた。
「なぁ…あの女の子達大丈夫かな?」
「あ、あぁ…あれってプラズマ団だろ?ポケモン持ってるようには見えなかったけど何で絡まれてたんだろうな…」
「…!なぁアンタら!その女の子の特徴とか分かるか!?」
「嵐志?」
今メチャクチャ嫌な予感がオレの中を駆け巡った。プラズマ団に絡まれる可能性のある女の子なんて…正直オレの中では限られてる。
「え?え、えぇと…確か1人はオレンジ色の髪だったような…あと2人共同じくらいの歳だったと思うよ」
「―――っ行くぞアッくん!」
「…!あぁ!」
間違いない、プラズマ団に絡まれてるって女の子は…姫さんとなっちゃんだ。おまけになっちゃんはどうかよく分かんねーけど、姫さんには今手持ちはいない。クソ、こんなことなららいとんを置いてくんじゃなかった!
アッくんもなっちゃんが絡まれてることに気付いたらしく血相を変えて走り出す。頼む姫さん達、無事でいてくれ…!
−−−−−−−−−−−
「お前達に邪魔された失態が上に知られてしまったんだ…!どうしてくれる!」
『いや知りませんし!ていうかあなた達が悪いことするからでしょ!?』
「ひ、引っ張らないで下さい!」
あぁもう何でよりによって嵐志や雷士がいない時に絡んでくるかな!あたしとライナちゃんの力じゃ男2人には適わない…腕力的な意味でね。
ていうかこんなの逆恨みだよ!前あたし達に撃退されたからって復讐しに来るなんて…!
(正直ヤバいよね…こんなことなら横暴キングに頭下げてでもついて来てもらうんだった)
あたしだけならまだしもライナちゃんもいる。巻き込んじゃうなんて最悪だ…アークくんに合わせる顔がないよ。
「さぁ観念しろ!お前達を我らのアジトへ連行する!」
「きゃっ!」
『ちょ…っ離してよ!』
プラズマ団の1人がライナちゃんの腕を掴み上げ、その手を離そうとあたしも掴みかかるけどやっぱりビクともしない。仕舞いにはあたしまで捕まりかなり危険な状況になってしまった。どうしようこのままじゃ…!
「助けて…!助けてアークくん!」
〈頭下げろライナ!!〉
「ぐぁっ!?」
『へ…!?』
今のは…つじぎり?目の前で華麗に着地したゾロアークは嵐志じゃない…いや勿論ほぼ同じ姿だけどね!ていうか今の声は嵐志じゃなくて…
「あ、アークくん…!」
そう、ライナちゃんのゾロアーク…アークくんだ!
〈姫さん!無事か!?〉
『嵐志ぃいいい!!』
〈うぉっと!ははっ、大丈夫そーだな!〉
安心感から感極まって原型の嵐志に思い切り抱き付いた。助けにきてくれてありがとぉおおお!!ていうかゾロアークやっぱり腰細っ!!
「う、うわぁ羨ましいです!アークくん、私もギュッてしていいですか!?」
〈や、め、ろ〉
「い、痛い!痛いですアークくん!」
『やめてぇえええ!あたしと雷士を見てるみたいだからやめてぇえええ!!』
〈切実だな姫さん!〉
飛び付こうとしたライナちゃんの頭をわし掴んで阻止するアーク君。う、胸が痛い…!お願いだからアーク君は雷士みたいにイジメっ子にならないでね!
「っく、またあのゾロアークか…!こうなったらリベンジだ!やれズルッグ!」
「いけザングース!」
『よーし…ライナちゃん、二回目のダブルバトルいっちゃうよ!』
「は、はい!頑張ります!」
嵐志とアーク君が戻ってきてくれたらこっちのものだ。あたし達の絆見せてあげよ!
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