「あ、そのお兄さんもガーディなの?」
『そうなの…一応』
うぅ、この横暴キングに比べて喜多君は何て可愛いの…!怯えさせちゃってゴメンね!?全ては紅矢のせいだから!
「いやヒナタちゃんがいきなり大声出したからでもあると思うけどね」
雷士の言葉に再び青ざめ、慌てて喜多君に謝る。すると若干プルプルしつつもニコリと笑ってくれた。や、やっぱり可愛い…!
あたしが1人悶えていると、何やら背後から怒声が聞こえてきた。
「紅矢…!ヒナタ様に無礼な行いはするなと何度も言っているだろう!」
「はっ、聞こえねぇな」
「おい…何か喧嘩してるけどいいのか?」
『あぁ、いつもの光景だから大丈夫!ちなみに怒ってる方がルカリオの蒼刃ね』
流君優しいな、心配してくれてるんだ。何だか苦労人のニオイがするよ…。
そんな流君を見ると、引きつった表情でのどかちゃんを見ていた。対するのどかちゃんは…未だ一方的な口論を繰り広げている紅矢と蒼刃をキラキラした目で見つめている。
「…やべぇな」
流君がポツリと呟く。…何事?
「あ、あの!2人共いい体してますね!触らせて下さ「させるかぁああああ!!」いったぁ!?」
『ちょ、ちょっと流君!?』
フラフラと両手を広げ紅矢達に近寄っていったのどかちゃんの首根っこを捕まえ、拳骨をかました流君。いやいや痛いって!女の子なんだよ!?
「初対面の奴らにセクハラなんかすんじゃねぇ!ドン引きされるだろうが!」
「だ、だって…!綺麗な筋肉してたんだもん!」
…あぁなるほど、のどかちゃんは筋肉フェチなのかな。確かに紅矢と蒼刃は締まってて綺麗な体つきしてるかもね!
「全くのどかったら…でも流も流よ!ゴメンなさいね、驚かせちゃったでしょ?」
『あ、いいえ大丈夫です!紅矢は危険だからアレですけど蒼刃なら許してくれると思うんで、どうぞ腹筋なり背筋なり触って下さい!』
「本当!?わーいありがとうヒナタちゃん!」
「だって、良かったね蒼刃」
「はっ、ざまぁねぇな」
「…っヒナタ様の…ご命令ならば…」
そして流君にもお許しをもらい、ほどほどにと言う条件で蒼刃の体にタッチするのどかちゃん。まぁ女の子なら逞しい男の人に憧れる気持ちはあるだろうし、流君も少しくらい触らせてあげればいいのに…。
そう伝えたら流君に甘やかすな!と怒られてしまった。八尋さんも半分呆れた様に苦笑いしてるし、もしかしたら日常的な事なのかも。
(…あれ?そう言えば疾風と嵐志は…)
キョロキョロ周囲を見渡すと、長椅子に腰掛けて喜多君と疾風を両サイドに侍らせている(ように見える)嵐志がいた。
ま、まさか…!
『だっダメぇえええ!!見損なったよ嵐志!いくら喜多君と疾風が美少年だからって手なんか出しちゃダメ!!』
「いやいやいきなり凄い勘違いしたな姫さん!!」
…ん?勘違い…?
「ぼ、ボク達普通にお喋りしてただけだよマスター…」
「はっはい!そ、そうです。ぼく、ビブラーバやゾロアークって初めて会ったから…色々聞いてました」
『…な、なーんだ良かったぁ…!あたしはてっきり2人が嵐志の毒牙にやられたのかと…』
「ひでーよ姫さん…オレ姫さん一筋なのに信じてねぇの!?そもそもコイツら男だし!」
『だって嵐志見境なさそうなチャラお兄さんなんだもん』
バッサリ言うと泣き真似をして抱き付いてきた嵐志。それを鋭く感じ取った蒼刃がのどかちゃんを引っ付けたまま殴りつける。そんな様子を八尋さんと疾風、そして喜多君がクスクス笑って見つめていた。
…あぁ…この3人からはマイナスイオンが出てるよ…。
「…何か…お前んとこの主はいいな。変態行為しなさそうだし」
「確かにヒナタちゃんは変態行為はしないけど、痛い発言ならそれなりにするよ」
『ちょっとこっち来てくれるかな雷士くん』
…まぁその後も何やかんやと楽しく時間は過ぎていったのである。
−−−−−−−−−−−−−
『…わ、いつの間にかこんな時間だよ。ちょっと喋り過ぎちゃったかな!』
「本当だ…。あーでも楽しかった!特に蒼刃君の腹筋触れた事は良い思い出になったよ!」
『喜んでもらえて良かったよ。また機会があったら触ってあげて!』
「おい!甘やかすなって言っただろ!」
「ヒナタ様…申し訳ございませんが、その…俺もあまり…」
心なしか目に光がない蒼刃。…そんな疲れる事だったのかな?
「じゃあボク達そろそろ行くね。付き合ってくれてありがとう!」
「楽しかったわよ、また会いましょうね」
「じゃあな」
「さ、さようなら!」
『うん!こちらこそ一緒にお茶してくれてありがとう!』
お互い席を立ち、姿が見えなくなるまで手を振り合う。…あ、連絡先くらい交換しておけば良かった。
まぁ…いつかまた会えるかもしれないし、その時に聞けばいっか!
それにしてものどかちゃん可愛いかったな…。八尋さんの女子力凄まじいし、流君ツンデレっぽいけど優しいし、喜多君天使だし。
彼女達の事を思い出すと自然と口元が緩んでしまう。本当に、良い出会いだった。
1枚のハンカチが運んでくれた素敵な偶然に感謝し、あたし達は再びフキヨセへと戻る為ライモンを出発したのであった。
end
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