long | ナノ







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コバルオンと別れたあたし達は漸くカゴメタウンへと足を踏み入れていた。とりあえず雷士、起きなさい!


『らーいーと、着いたから起きてー。ていうかここまでの数分でよく寝れたね君』

〈目を瞑れば誰だって3秒で寝れるでしょ〉

『いやそれは確実に雷士だけだと思うよ!』


それかあれかな、あたしの頭から何か強力な催眠剤でも振りまかれているのか。…さすがにないかな。

とまぁくだらないことを考えつつ、カゴメタウンを進む。

何だか閑散とした所だなぁ…高い塀に囲まれてて、隔離されてるという感じ。


『…まぁとりあえず、ポケモンセンターでお昼にしようか』

〈そうだね、疾風とかお腹空かせてるでしょ〉


そう、雷士の言う通り。疾風は可愛い顔して意外とガッツリ食べるのです。雷士も好き嫌いなく何でもよく食べるけれど…疾風はそれ以上にバクバク食べる。何で太らないのか不思議なんだよね羨ましい!

早速ポケモンセンターへと向かうと、受付のジョーイさんとタブンネがニッコリ出迎えてくれた。な…何て癒しだ…!


「こんにちは!本日はご宿泊ですか?」

『はい!一泊お願いします』

「かしこまりました。ではトレーナーカードのご提示をお願いします」


ジョーイさんにカードを渡すと、テキパキと宿泊の手続きをしてくれる。今更だけど宿泊から食事まで本当に全部タダなんだよね…トレーナーに優しい施設だよ。

この町を抜けると次はとうとうソウリュウシティだ。さっき地図を見て確認したけれど、それまでの道のりは決して優しいものじゃなさそう。もうお昼を結構回っているし…今日は無理をせずここで夜を明かして、明日ソウリュウへ到着するプランにしました。


「はい、ではこちらがお部屋の鍵です。ごゆっくりお休み下さいね!」

『ありがとうございます!』


鍵を受け取り部屋へと向かう。あたし達は202号室か…。




『あ、ここだ。』


部屋に入ると全体的に薄茶で統一されたシンプルな作りだった。そういえばライモンシティのポケモンセンターの部屋はキラキラした黄色だったし…その町によって色合いが違うのだろうね。


『よっし、それじゃ皆出ておいでー!』


ボールから皆を出して擬人化をとってもらう。せっかくだから一緒にご飯食べたいし!


『皆、お腹空いたでしょ?今から食べに行くよ!』

「はい!お供しますヒナタ様!」

「甘ぇモンも食わせろよ」

『それはご飯の後だよキング!』


全く紅矢ってば、寝ても覚めても甘味か!まぁあたしも好きだから気持ちは分からなくもないけれど…。


「ま、マスター、お腹空いたね!」

『うん、いっぱい食べてね疾風!』


やっぱり空腹だったらしい疾風は嬉しそうに笑ってくれた。ふんわりとした笑顔はフライゴンになっても健在で、あたしの最大の目の保養です。

ワイワイお喋りしつつポケモンセンターの食堂へと行くと、食事をしている人は疎らであまり多くはいなかった。

まぁ混んでいないのは助かるけれど…何となく活気のない町だ、なんて思うのはあたしの失礼な勘違いだろうか。


「姫さん!オレこれ、カルボナーラ!」

『おー、嵐志ってばやっぱり見た目通り洋風だね』

「んー確かに…どっちかって言ったら洋食好きだな。勿論和食も嫌いじゃねーけど!」


うんうん、予想通りだ。そりゃ味の好みも合わない蒼刃とは仲悪いよね…蒼刃はバリバリ和食好きだし。まぁ蒼刃が一方的に嵐志を敵視しているのだけど。

それぞれ好きなものを注文すると、数十分ほどで全て運ばれてきた。ポケモンセンターって職員さん何人くらいいるんだろう…回復も食事もって、絶対大変だよね。

皆お腹が空いているだけあってあっという間に完食。あたしも自分の和風おろしハンバーグをせっせと食べ進める。ていうか男の子って食べるの速い!


急いで食べながらも味を噛み締めつつ、あたし達は昼食を終えたのであった。



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