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『ふぁあ…何か泳いだら眠くなってきちゃったなぁ』
前回に引き続きあたし達はシロナさんの厚意のもと、サザナミタウンの別荘でリゾート気分を味わっていた。
ただいま時刻は15時過ぎ…ひと泳ぎした後の上に時間帯の相乗効果で程よい眠気があたしを襲う。
ちなみに雷士はすでに借りた部屋の中で爆睡。…うん、まぁ予想通りだけどね。
そして蒼刃と疾風は原型で手合わせ中。おぉ、ルカリオとフライゴンのバトルって中々迫力あるなぁ…!
2人の修行を遠目から応援していると、背後から紅矢がオレンジジュースを啜りながら現れた。…ちなみにポケットに片手を突っ込んでいる。
『…あ、甘党ヤンキー…!』
「あ"ぁ?」
『何でもないデス』
飲み終わったのか、紙製のコップをグシャリと握りつぶして睨みをきかせる紅矢はやっぱりただのヤンキーにしか見えないよ!…とは恐ろしくて言えないけれど。
「おいヒナタ、何か甘ぇモン食いに行くぞ。付き合え」
『え…さっき胸焼け起こすくらい巨大なパフェ食べたばっか「行くよなぁ?」イエッサー!!』
「ふん、さっさと来い」
(こんの暴君め…!)
鋭い牙をちらつかせながら、ギリギリと手首を握られたらもうあたしには逆らえませんでした。
でも本当にさっきパフェ食べたばっかりなのに…!
(…でもまぁ、甘い物は好きだしいいか)
太るのは覚悟しなきゃだけど、ね。
紅矢の後ろについて町中へ行こうとした時、再び背後から抱きつかれた。こんなことをするのは1人しかいない…!
『嵐志…ビックリするからやめてよー』
「だーって姫さんが可愛いからさ!なーなー、2人でどこ行くんだ?」
「ちっ、うるせぇのが来たな…」
『あたし達今から甘い物食べに行くんだよ!』
「マジ!?うわっ抜け駆けとかひでーなこーちゃん!オレも行く行く!いーだろ姫さん?」
『あたしは全然構わないけど…ね、紅矢!』
紅矢はどこか不満げだけれど、嵐志はついてくる気満々だ。断る理由もないしあたしは快く頷いた。…それより抜け駆けってどういう意味だろう?
「さっすが姫さん!よし、んじゃ行こーぜ!」
『わ…!』
「…ちっ、」
あれ、手繋ぐ必要あるのかな。…まぁいいか。
−−−−−−−−
『おっいしー!!ねぇねぇ紅矢!超美味しいよね!』 「まぁ悪かねぇ。おら、そっちも寄越せ」
『うんいいよ!あ、じゃああたしも貰っていい?』
「ちっ、仕方ねぇな…」
『やった!ありがとー紅矢!』
「…何かさ、甘いもん絡むと仲良しだなアンタら」
『え?そう?』
あたし達3人はビーチから離れた町中に来ていた。様々なお店が立ち並ぶ中で見つけたのは、カラフルな作りのアイスクリーム屋さん。
店頭に並ぶ色鮮やかなアイスクリームにあたしと…多分紅矢も目を奪われ意気揚々と購入したのだ。
ちなみにあたしはバニラ、紅矢はチョコ、嵐志はストロベリー。3人でベンチに腰掛けながらつつくアイスは絶品だった。
「まぁ確かにこーゆう暑い日は冷たいもんに限るよな!それに…、」
『あ、垂れた』
濃厚なバニラアイスが気温のせいか早くも溶け出し、あたしの手首を伝う。行儀が悪いとは思ったけれど…服についてしまう前にそれを舐めとった。あ、ティッシュでも拭いておかないとね!
「…アイスだとこんなエロい光景も見られるしな。バニラ選んだ姫さんのチョイスに乾杯!」
「はっ…くだらねぇこと言うんじゃねぇよ」
「またまたー、こーちゃんもしっかり見てた癖に」
(…何の話してるんだろう?)
カバンを漁りながらティッシュを探すあたしに謎の視線を向ける2人。あれか、やっぱり女が行儀悪いことするなって思ってるのかな…それは失礼しました。
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