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「あ、そうだヒナタちゃん!せっかくだし今日は私の別荘に泊まらない?丁度今休暇中なんだけど1人でつまらなかったのよー」
『え…別荘!?シロナさんここに別荘持ってるんですか!?』
「えぇ、あれよ」
「はは、無駄に財力と権力だけは持っている人だからね」
「アンタに言われたくないわね似非紳士!!」
な、何かダイゴさんのキラキラした笑顔が今は怖い…。それにしても凄いな、こんなに高そうな別荘を持っているなんて!
うーん…遠慮してポケモンセンターに泊まるべきかもしれないけれどこんな機会もう無いかもしれないし…
しばらく悩んだ挙げ句、あたしは嬉しい申し出に甘えることにした。
『えっと…ご迷惑じゃなければ、お邪魔してもいいですか?』
「勿論!誘ったのは私なんだし。じゃあ早速中に荷物置いて着替えましょう!」
『?着替え?』
「ここは海よ、当然泳ぐわよね?」
『…あ、は、はい!泳ぎたいです!でもあたし水着なんて…』
うん、水着なんて当たり前だけど持っていない。そういえばここ数年買ってもいないなぁ…どうしよう、浅瀬で諦めるしかないかな。
実際泳ぎが上手い訳ではないけれど、やっぱりこんな綺麗な海を前に勿体無い。でも水着が無い以上は…
「大丈夫よヒナタちゃん、私に任せて!」
『え?』
軽く落ち込むあたしの肩をシロナさんがガッシリ掴む。そして頭にいた雷士を抱き上げたかと思ったら、そのままダイゴさんへ渡す。訳も分からず抱っこさせられたダイゴさんは勿論、雷士本人もキョトンとしている。
「あぁそうだ、他の手持ちの子は男の子ばかり?」
『え?あ、はい…皆男の子です、けど…?』
「それじゃここに預けていかないとね!ダイゴ、この子達のこと頼むわよ!」
『ちょ、シロナさん!?』
「…あぁなるほど、そういうことか…」
続いてあたしの腰のボールを全て取り外してダイゴさんへ押し付けるシロナさん。ダイゴさんはどういうことか理解したみたいだけど…あたしには未だにサッパリ。
「よし、行くわよヒナタちゃん!」
『えぇえええ!?』
しっかり腕を掴まれ別荘へと連れていかれるあたし。去り際にダイゴさんが苦笑いしつつヒラヒラ手を振っていた。
…どういうこと?
−−−−−−−−−
『…で、こういうこと!?』
「すっごく似合うわよヒナタちゃん!!」
別荘内へと連れていかれたあたしはすぐさまメイドさんらしき女性達に服を脱がされ、目にも止まらぬ早業で水着に着替えさせられて現在鏡の前に立っている状況です。
え、お金持ちって怖い…!
『あ、あたしこれ…お借りしていいんですか…?』
「借りるどころかプレゼントするわよ!いつもハルマには世話になっているし…出会った記念にね!」
ぷ、プレゼントって…!本当にいいのかな。でも可愛いなぁこの水着…。
あたしが今着ているのは青と白のボーダー柄のバンドゥビキニ。パンツのサイドについたリボンが凄く好みだ。
「ね、可愛いでしょ?貰ってくれると私も嬉しいんだけど…」
『う…っ』
上目遣いで、見ないで下さい…!
あたしは早くもノックアウトされたのだった。
「お、遅いねマスター…。大丈夫かな?」
「まぁ大丈夫でしょ、1人じゃないし」
「つーかこーちゃん炎タイプなのに泳げんの?」
「んなもん余裕だ。俺を誰だと思ってやがる」
「…君達嫌味だな、何で揃いも揃って美男子ばかりなんだ…」
「…!ヒナタ様の波動が近付いてくる!」
「気持ち悪いよ蒼刃」
「あ、いたいた。待たせたわね!」
『!』
砂浜に行くとやたら煌びやかな集団がそこにいた。な、何あの美形集団…!?
「…おや、どうして隠れているんだいヒナタちゃん」
『だ、だって水着姿なんて見せたことないし恥ずかしいんです!』
「なーに言ってるの!可愛いんだから見せなきゃ勿体無いわよ!」
『わぁっ!?』
シロナさんに背中を押され前のめりになる体。それをすかさず支えてくれたのは男前代表の蒼刃。
『あ、ありがとう蒼、刃…?』
「…っ!?ぐはぁっ!!」
『蒼刃ぁあああ!?』
抱き止めてくれたお礼を言おうと顔を上げたら、みるみる真っ赤になって吐血して倒れてしまった。えぇええ何事!?
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