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〈おい悪者!ここから出て行け!〉
「コイツ…!静かにしろ!」
『!いた…ハーデリア!』
奥の拓けた場所へ出ると探していたハーデリアがいた。だけど何だか様子がおかしい…。というかあの黒ずくめなんだかそうでもないのかよく分からないコスチュームの人は誰?
『…コスプレ?』
「違ーう!俺はプラズマ団だ!!」
プラズマ団?何だろうそれ…。
〈ヒナタちゃん、何かこの人視覚的に痛いから10まんボルトしていい? 〉
『いやいやいきなりそれは…好きでこんな格好してる訳じゃないかもしれないしさ。例えばこの人はスパイで、このコスチュームの組織を捜査する為に嫌でたまらないけど着ざるを得なかったとかね』
「いやだから俺がその組織なんだけど。つーかお前誰と喋ってんの?独り言が多い奴は早死にするらしいぜ」
『え!?そうなんですか!?』
「そうそう、俺のダチが何かで読んだって言ってた。若いのに大変だな…って、何どうでもいいこと喋らせてんだコラァァア!!」
『ノリツッコミ激しっ!』
この人意外と面白いのかもしれない…。でもさっきのプラズマ団?っていうのが気になるよね。
〈…ヒナタちゃん、ハーデリアの声を聞いて〉
『え?』
雷士があまりにも静かに言うからついあたしの身体にも力が篭もった。ハーデリアへと視線を向ければ震えている姿が映る。というか…怒っている?
〈おい!コイツは悪い人間だ!2年前の事件を知らないのか!?〉
確かにあたしの耳に入ったハーデリアの声。この子は強くあたしに訴えかけてきた。
『2年、前…?』
「…!何だ、知ってるんじゃねぇか」
あたしが呟いた瞬間男の人の雰囲気がガラリと変わった。冷たく、不敵に口角を吊り上げ笑みを浮かべるプラズマ団という人。
あたしの肩にいる雷士から微かに電気が漏れた。雷士も、何かを感じ取っている。
『…あなた、悪い人?』
「悪い人、か…。そいつは酷い勘違いだな。俺は2年前、ポケモン解放を唱え栄華を誇った崇高なプラズマ団の一員だ!あの時は邪魔が入って上手くいかなかったが…こうして今、再び俺達が全てのポケモンをトレーナーから解放し世界を変える時が来たんだ!」
恍惚とした表情で拳を震わせ高らかに叫ぶプラズマ団。その脇でハーデリアの眉間に皺が寄るのが見えた。
この人が何を言っているのかよく分からないし、あたしはハーデリアが言った2年前の事件というのも知らない。
けど…ここまで嫌悪を顕わにするハーデリアや雷士、ポケモンをトレーナーから解放すると言う言葉に言い知れぬ不安を感じた。
(この人は、決して良い人ではない)
そう判断したあたしを察知したのか、プラズマ団が腰のボールからミネズミを繰り出した。
トレーナー相手のバトルは雷士と何度かこなしてきた。こちらも応戦する為指示を出そうとした時、
〈帰れ人間!!〉
目にも止まらぬスピードで、突如青い塊が草むらから飛び出してきたのだ。
to be continue…
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