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「あ…なぁお前!この辺りでハーデリアを見なかったか?」
『え?』
服についたメリープ達の体毛を取っていたら突然声をかけられた。
振り返ったらビックリ、トゲトゲ頭の男の子が息を切らして立っていたから。
ちなみにこの地方のポケモンの事はバッチリ予習済みだから、ハーデリアがどんなポケモンかはすぐに理解出来た。
『えっと…あたしは見てないかな。どうしたの?はぐれちゃったの?』
「いや俺のポケモンじゃなくて、牧場のオーナーのポケモンなんだ。いつも2匹一緒にいるらしいんだけど1匹どっか行っちまったみたいで…。あぁもう!なのにあのオッサンのんびりしやがって!ハーデリアが心配じゃねぇのかよ!?」
『と、とりあえず落ち着いて!』
ガシガシと頭を掻き焦りと苛立ちを顕わにした男の子。
それにしても自分のポケモンの事の様に心配しているなんて優しい人だなぁ。確かに気になるし、あたしも一緒に探そうかな。
『ねぇねぇ、ハーデリアあたしも探していい?』
「本当か!?じゃあ俺あっち探すから、お前はもう少し奥の方探してくれ!」
そう言うや否やダッシュで行ってしまった。何かこう…賑やかな人だね。
―――――――――
『んー…奥の方は結構茂ってるんだなぁ』
ルリリやコダック、ヨーテリーと触れ合いつつ奥へと進むと太陽が木々に遮られ少しだけ薄暗く感じた。
〈ハーデリアっていうのは頭の良いポケモンだから、トレーナーを置いて勝手にどこかへ行くなんて事しないと思うんだけど…〉
『そっか…もしかしたら怪我とかして動けないのかもしれないね。だとしたら早く見つけないと!』
珍しく雷士も耳を立てて気配を探ってくれている。最悪何かの事件に巻き込まれているのかもしれないと思うと自然と草を掻き分ける足は早くなる。
〈…ん、何か聞こえたよヒナタちゃん。あっちの方〉
『本当!?よし、行こう!』
ピクピクと長い耳を動かし雷士が何かを感じ取ったらしい。それを頼りに最奥へと向かった。
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