long | ナノ







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「いくよペンドラー!ポイズンテール!」


大きな体に似合わず素早い動きで攻撃を繰り出すペンドラー。相手のココロモリはかわす事が間に合わず喰らってしまった。


〈わ…!毒状態に、なっちゃったよ…!〉


運悪くヒットしたポイズンテールの追加効果で毒を浴びてしまったココロモリ。そこに追い討ちをかける様にホミカちゃんが畳み掛ける。


「チャンスだよ!ベノムショック!」

『!』


ベノムショックって確か…相手が毒状態の時に当てると威力が2倍になる技、だよね?


「ココロモリ戦闘不能!ペンドラーの勝ち!」


そしてそのまま反撃に出る事なくココロモリはダウンしてしまった。凄い…強いトレーナーは運も味方に出来るって事なのかな。

隙を見逃さない洞察力や判断力、それもきっと大切な能力だ。


〈常に自分に自信を持つって事も大事なんじゃないの?疾風〉

〈う、うん…そうだね。ボクも、自信を持たなきゃ…!〉


雷士の言葉があたし自身にも染み渡る。そうだ、指示を出すトレーナーのあたしが自信を持てていないのに勝てるわけがないよね。

カミツレさんの時はそうだった…心のどこかでジムリーダーには勝てないかもしれないって思ってしまったんだ。


(ゴメン皆…あたしも自分や皆をもっと信じきるよ!それと…ありがとう、ホミカちゃん)


やっぱり来て良かった…多くの事を学べたから。大歓声を送る人達に手を振るホミカちゃんへ、心の中でそっとお礼を呟いた。

そしてこのトーナメントは彼女の優勝で幕を閉じたのであった。




−−−−−−−−−−




『はー…良いバトルだったね!手に汗握るって感じ!』 

〈ぼっボクも凄く勉強に、なったよ!連れてきてくれてありがとう、マスター!〉

『気にしないで、あたしこそ良い勉強になったもん!』


素直に感情を表現する疾風は純粋で、本当に可愛い。思わず頭を撫でたら嬉しそうに羽根を震わせていた。






「もしもし、そこのアナタ」

『え?』


疾風と戯れていたら背後から声をかけられた。低いけどよく通る声だ。

振り向いたそこに立っていたのは…白衣を着た背の高い男性だった。


『…前髪…アンテナ?超気になるんですけど…!』

〈ヒナタちゃん、表情でも丸分かりなのに声まで出したらお終いだよ〉

〈ら、雷士…酷い…〉


良かった、疾風はあたしの味方だった!ってそんな事言っている場合じゃない。

この人は一体誰なんだろう…?どこかの研究員さん?それに何であたしに声を?色々気になる事はあったけれど何よりも前髪が気になるあたしだった。


「失礼、私はアクロマと申します。ポケモンは何によって最もその力を発揮出来るのか、というテーマで研究をしている者なのですが…」

『あ、やっぱり科学者さんなんですね。如何にもインテリって感じで「その点でアナタは実に興味深い!」うわ話遮られた!!』


ビックリした…!急にトーン上がるんだもん!何かさっきより距離も近くなったし。


「会場を出てから偶然アナタを見つけたのですが、ピカチュウやビブラーバと触れ合う姿がどこか他のトレーナーと違うという印象を受けたのです!まるでお互いの言葉が通じ合っている様なコミュニケーション力…アナタの様な方は初めてだ!」


何かテンション上がってないこの人!?まぁ実際言葉は通じているからコミュニケーション力は高いと自負してますけれども!


「そこでアナタにお願いしたい事があります!どうか私とバトルして頂けないでしょうか!?アナタのような方が育てたポケモンがどれほどの力を発揮するのか…大変興味があるのです!」

『わわわ分かりました!分かりましたからちょっと離れて下さい顔近いです!』

「おや、これは失礼!」


あービックリした…。ギラギラした目で見られるからちょっと怖かったよ。

科学者ってこういう人多いんだよね、興味のあるものには一直線って言うか…。ハル兄ちゃんも似た様な所あるし。


〈ま、マスター…大丈夫…?〉

『うん、大丈夫だよ。せっかくバトルを挑まれたんだし疾風にお願いしようかな』


アクロマさんに聞こえない様早速小声で会話する。学んだ事を生かせるチャンスに疾風もやる気満々だ。


「1つ条件を出してもよろしいでしょうか?」

『条件?』

「私は3体ポケモンを所持しています!勝ち抜きではなく、出来れば1体1体別のポケモンでバトルしたいのですが…アナタは3体お持ちですか?」


色んなポケモンで検証したいって事なのかな…?特に困る事ではないので了承する。今回は雷士に休んでもらって、他の皆でいこう!



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