long | ナノ







3

「わぁ久し振り!中々連絡出来なくてゴメンねぇー!」

「メイはいつも慌ただしく駆け回ってるからな。少しは落ち着いたら?」

「何よキョウヘイ!アンタだって似たようなもんでしょ!?」

『あは、仲良しだねー2人共』

「「どこが!?」」


おぉう…やっぱり息ピッタリだ。どうもメイちゃんとキョウヘイくんは行くところ行くところで再会するからお互いの状況が丸分かりみたい。


「あ、そうだヒナタちゃん!せっかくだしお茶しない?」

『良いの!?するする!』

「ヒナタが行くならオレも行こうっと」

「アンタは来なくていいわよ!」

『まぁまぁメイちゃん、多い方が楽しいしね?』


唇を尖らせてキョウヘイくんを恨めしそうに睨むメイちゃん…そんな事しても可愛いから羨ましいな。


「ヒナタちゃんがそう言うなら…。あ、あそこなんてどう?」

『うん!行こう行こう!』


3人で近くのオープンカフェへと向かう。あたしはココア、メイちゃんはミルクティー、キョウヘイくんはコーラを頼んだ。

ここはデザートも豊富だなぁ…あ、そうだ。甘い物好きな横暴キングに何か買ってあげようかな。


「ねぇヒナタちゃん!それぞれのポケモン見せ合わない?ヒナタちゃんがどんなポケモンを持っているのか気になっちゃって!」

「あ、オレもオレも!順番に出そう!」

『う、うん、分かった!』


ケーキメニューを見ていたらメイちゃんの提案で手持ちを披露する事に。確かに2人のポケモンも見てみたいな。


「最初は私ね!この子達でーす!」


ボールから一斉にポケモン達を出し、腰に手を当て自慢気に胸を張るメイちゃん。その傍らにいたのはジャノビー、モココ、イーブイ、ヒヤップ。可愛いなぁ、何だか女の子らしいラインナップって感じ!


「オレはこのメンバーだ!」


続いてキョウヘイくん。チャオブーにヤナップ、ゴルダック、エレブーだ。きっとコダックとエレキッドから育てたのだろう、もう進化しているなんて凄い!

そして最後はあたし。あたしだって自慢の子達だから、どんな反応をされるかワクワクしてしまう。3つのボールを一気に開口した。


「へぇ…強そうなルカリオだなぁ!何かガーディも目つき鋭いし」

「わぁカッコいい!ねぇねぇ、ピカチュウが雷士ならこの子達にも名前があるの?」

『うん!ルカリオが蒼刃で、ガーディが紅矢、ビブラーバが疾風だよ!』


皆が誉められるとあたしも嬉しくなってつい自慢したくなってしまう。思わずニヤけると雷士に叩かれて紅矢にキモいと言われた。…あれ、酷くないあたしの扱い。


「うーん…何だか羨ましくなっちゃった。私も皆に名前つけようかなぁ」

「メイのネーミングセンスじゃポケモンが可哀相だと思うけど」

「何ですってぇ!?」


これは喧嘩するほど仲が良いって事なんだよねきっと…。和む光景を見つつ、店員さんにケーキを注文した。


『紅矢、美味しそうだったからケーキ頼んだよ。食べるでしょ?』

〈はっ、テメェにしちゃ気が利くじゃねぇか。下僕としてレベルが上がったな〉

『下僕のレベル!?』


何それそんなのがあったの!?やだ紅矢様怖い…!

あたしが1人オロオロしていると、メイちゃんとキョウヘイくんがこちらをポカンと見つめていた。…あ、もしかして…


「…ヒナタちゃん今…ガーディと喋った?」


…やっぱり。まぁ隠す事でもないと思ってるから良いんだけどね。


『うん、実はあたし…ポケモンの言葉が分かるんだ。理由は知らないけど小さい頃からなの』

「すごーい…!私は擬人化した皆とは話せるけど原型では分かんないよ!」

「オレもそうだよ。ヒナタって凄いんだな!」


…こんなに凄いって言われる事無かったから照れちゃうな。そっか、原型のポケモン達と話せるのはやっぱり珍しい事なんだね…。

運ばれてきたケーキをガツガツ食べる紅矢にメイちゃん達が苦笑いしている。引かれるほどの食いっぷりってあたしが恥ずかしいんですけど!


「…あ、そういえばヒナタちゃんはどこへ行く予定してるの?」

『あたしはPWTに行ってみようかなって…。今名所になっているみたいだし』

「あ、確かそこって最近出来たばかりなんだよね?」

「オレもジム戦終わったら行くつもりなんだよ!あー早くバトルしたい!」


キョウヘイくんはバトル好きなんだね。逆にメイちゃんはポケウッド?という施設の方が興味あるみたいだけれど…。







『…あ、意外と時間経っちゃったね』

「本当だ。そろそろ行こっか!」

「じゃあオレ早速ジム行ってくる!じゃあなヒナタ!メイ!」


お喋りしてたらあっという間に時間が過ぎてしまいお開きとなった。楽しかったなぁ、またこういうのやりたい。


「それじゃヒナタちゃん、私もジムに行くね。一応バッジも集めたいから…」

『うん!頑張ってね!』


メイちゃんとも手を振り合い別れる。2人ならきっと勝てるだろうな。


『じゃああたし達はこっちね!』


紅矢達をボールに戻しPWTへと足を進める。さっき遮られた説明だけど…PWTは各地方のトレーナー達がトーナメント形式で腕を競い合い、その中で1番を決める方式のバトル施設らしい。

参考になるから観戦したいな…疾風にも教えたら見たいって言っていた。強くなりたいんだよね。


プラズマ団との事もあったけど、友達との久し振りの再開に何だかやる気が出たあたしは意気揚々とPWTへ向かったのだった。


to be continue…


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