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皆で楽しい夕飯(一部殺伐としていたけれど)を終え、それぞれの時間を過ごす。あたしは雷士を膝に乗せ、食後のデザートに舌鼓を打っていた。
「ヒナタ、明日にはもう出発するんだろう?」
『うん!古代の城の資料は渡したし…次はソウリュウシティに行こうと思ってるの』
「そうか…確かあそこにはレシラムやゼクロムに詳しいシャガさんがいたっけ。はは、ヒナタも目の付け所が良いね」
『えへへ、そうかなー?』
少しでもハル兄ちゃんにとって役立つような情報を持って帰る、それが今のあたしの役目だから。
「でもまた寂しくなるね…。皆も名残惜しいだろう」
「何を言っているんだハルマ。確かにヒナタが家を空けるのは寂しいが、お前も明日は学会に行く日だろう」
『え?そうなの?』
「あ…忘れてた」
そう、定期的にハル兄ちゃんは様々な分野の研究者が集まる学会に参加している。著名な人もたくさん来るから不参加は出来ないんだって。
「せっかくヒナタが良い資料をくれたんだ。明日までにそれなりにまとめておけよ?」
「はいはい…分かったよ」
『あは、優秀な助手だねー斉!』
「少し口うるさいけれどね…」
「何か言ったか?」
「何でも!」
斉はきっと誰よりもハル兄ちゃんを理解しているんだろうな。ずっと昔から一緒にいるパートナーだから。
『あたしと雷士もこういう風になりたいね…って、はい来ましたお休みタイムー!』
人の膝で何ともまぁ気持ち良さそうに寝ちゃって…寝顔だけは天使なんだけどね、寝顔だけは。
〈ヒナタ様、明日は早出ですか?〉
『そうだね、朝ご飯食べたら出ようか』
〈分かりました、では俺も先に休ませて頂きます。ヒナタ様も早めにお休み下さいね〉
『了解しました!お休み蒼刃!』
〈はい、失礼しますヒナタ様!〉
ニコリと微笑んで軽く頭を下げ、リビングを後にする蒼刃。今日は皆ボールから出してベッドで寝てもらうのです。
まぁあたしのベッドだけじゃスペースが足りないから、蒼刃とビブラーバくんは違う部屋から運んだソファで眠る事になってしまったけれど…。
ちなみに紅矢は勿論ベッドで寝ると言い出した。遠慮しない所はさすが横暴キング。
『よし…じゃあお風呂に入ってこようかな』
「うん、いってらっしゃい」
寝ている雷士を部屋まで運び、そっとベッドに寝かす。紅矢もすでに夢の中だ…ベッドの真ん中で。ちょ、あたしどこで寝ればいいの。
(…そういえばビブラーバくんいないな。どこ行っちゃったんだろ…)
上がっても部屋にいなかったら探しに行こう。とりあえずタオルと着替えを持って風呂場へと向かった。
−−−−−−−−
(やっぱりビブラーバくん戻っていなかった…)
ガシガシとタオルで髪を拭きながら廊下を歩く。湯冷めするぞと斉に怒られそうだけどまぁ大丈夫でしょ!
それよりもビブラーバくんが心配だ。まさか1人で特訓を続けているんじゃ…。
可能性は大いにある、彼は真剣だったから。あたしは足早に庭へと向かった。
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