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「お嬢ぉおおぉおお!!」
『うへぁっ!!』
「ヒナタぁあああ!?」
突然飛び込んできたお兄さんに思いっきり抱き締められた。間違いない樹だ。というか締めすぎ!締めすぎだって!色んなものリバースしそう!
「ちょ、あんた本当気持ち悪いわね樹!どこから嗅ぎ付けて来たのよ!?」
「アホぅ!お嬢の気配ならどこにおっても分かるっちゅーねん!」
「よし分かった死になさいストーカー野郎」
〈ていうかヒナタちゃん、仮にも女の子なんだからあんな野太い声出さないでよ〉
『澪姐さん!雷士にも制裁お願いします!今この子あたしの女心をバキバキにへし折りました!!』
「…ははっ、やっぱヒナタがいると賑やかだな」
「…ん?おぉ、何だか騒がしいと思ったら…おいハルマ!こっちへ来てみろ」
『!斉!』
キッチンから出てきたのは皆のお父さんと化した斉。体はゴツいけれど包容力のある笑顔はやっぱり安心する。
そして斉の後ろから…
「…ヒナタ、ヒナタじゃないか!」
『――…っハル兄ちゃん!ただいま!』
会いたくてたまらなかったハル兄ちゃんが顔を覗かせたから思わず飛び付いた。両手を広げしっかり抱き留めてくれるハル兄ちゃんは相変わらず土や薬品…それとお日様の匂いがする。
あたしの、大好きな匂い。
「ヒナタ…元気そうで良かった。雷士もおかえり!」
〈うん、ただいまハルマ〉
原型の雷士の言葉は分からなくても、何となく表情や声で理解してしまうハル兄ちゃんは凄い。今も雷士が何を言ったか分かっているかのように頷いてニッコリと笑った。
『ハル兄ちゃん、あたしリゾートデザートに行ってきたんだよ!それからそれから、』
「あはは、分かったよヒナタ。ちゃんと聞くからまずはリビングへ行こう。さぁ皆もおいで!お茶にしよう!」
「そうだな、丁度俺特製スペシャルケーキが出来た所だ。好きだろう?ヒナタ」
『うん!斉のお菓子みーんな好き!』
「行きましょうヒナタちゃん!樹はそこでくたばってなさい」
「バカだな樹…」
「ちょ、待てやお前ら!ワイもお嬢と一緒に行く!」
あぁ、やっぱりここは暖かい。
まずは何から話そうか…そうだ、新しい仲間の紹介もしないとね!それにビブラーバくんのこと昴にお願いしないと。
皆に背中を押されリビングへと入る。雷士も何だかんだ嬉しそうだ。
この優しくて楽しい家があたしの帰る場所なんだという事が嬉しくてたまらなかった。
to be continue…
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