2
ジョーイさんが去った後も何となく気まずい空気が残る。紅矢はまだ笑いが止まらないみたいだけど…覚えてなよこの横暴キング!
…でも、いつまでもこのままじゃいけないよね。
『…ゴメンね雷士、あたしが軽率だったよ』
〈…ううん、僕も怒りすぎた。ゴメンヒナタちゃん〉
〈わぁ…!ちゃんと仲直り、偉いね!〉
〈ご立派ですヒナタ様…!〉
〈あぁクソ、腹痛ぇ…!くだらなさすぎて笑える〉
蒼刃は何故か涙ぐみ、ビブラーバくんはパチパチと拍手している。うん、可愛い!
『さてと…そろそろ行こうか?』
シャワーはもう…家に帰ってからでいいかな。 ていうか紅矢、少し丸くなったよね。少しはあたし達に馴染んでくれたのかな!
身支度をし、皆をボールに入れてからチェックアウトする。さぁ、ヒオウギへ帰ろうか。
−−−−−−−−
『あ、サンギ牧場だ。蒼刃の故郷だよー』
蒼刃のボールを撫でればカタカタ揺れる。久し振りの故郷に嬉しいんだよね。変わらず平和そうで良かった…蒼刃がいなくてもやっていけているなら安心だなぁ。
サンギを戻ればヒオウギはすぐだ。もうすぐ…もうすぐ、
『あ…!』
あたし達の家が見えた!雷士と顔を見合わせ、勢いよく走り出す。
『よーし行こ…あいたぁっ!!』
〈本当ヒナタちゃんは締まらないね〉
…石に躓いてすっ転んでしまった。雷士は巻き添えをくらう前にヒラリと着地してくれちゃったけどね…!
『ただいまー!!』
玄関のドアを開ければ広がる憩いの空間。置いてある物も配置も何も変わっていない。実際家にいなかったのは数日だけど、何だかとても懐かしく感じる。
あたしの声に反応したのかリビングから誰かが出てきた。あの水色のサラサラロングヘアーは…!
「…ヒナタ、ちゃん?」
『…!澪姐さぁああん!!』
ブーツを脱ぎ捨て澪姐さんに抱き付く。彼女もすぐに抱き締め返してくれた。
「ヒナタちゃん…!おかえりなさい、待ってたわよ!ついでに雷士も!」
〈あはは、相変わらず性格悪いね澪〉
「あらぁ氷漬けにしてやろうかしらクソネズミ」
『澪姐さんブレイクブレイク!雷士もめっ!』
キャッキャッと女子同士盛り上がっていたら(一部一触即発だったけれど)、その声を聞きつけたのか2階から昴が降りてきた。
「おい澪、誰か来たの…か…、」
『あ…!昴――っ!!』
「…ヒナタ!?お前何で…!(うわ、久し振りのヒナタ…っ)」
『帰ってきたの!ただいま昴!』
未だ雷士とガン飛ばしあっている澪姐さんから離れて昴へと手を伸ばす。何故か顔を赤くしているけれど気にせず抱き付こうとしたら、
何か視界に緑色のものが飛び込んできた。
prev | next
top
|