long | ナノ







3

『…あ、タチワキに着いたみたい!』


船が到着の汽笛を鳴らす。海を照らす街の灯りが綺麗だ。


『ありがとうね紅矢。また寒い時はお願いします!今度は抱きしめて寝たい!』

〈…へぇ?〉


…あれ、何その顔。ニヤリと不敵に口角をあげたかと思うと、突然擬人化した。クリーム色の混じった赤い髪が灯りに煌めいて綺麗だなぁ…こうして見ると紅矢もイケメンさんだ。


『で、何で擬人化?』

「仕方ねぇから寝てやるよ。この姿で…抱き締めながら、な」


カプり、


『…え、』

「じゃあ俺も戻る。ボーッとして降り損ねるんじゃねぇぞ」


擬人化を解いてボールに帰る紅矢。…いや、ていうか…


(ほっぺ、噛まれた…?)


何で。スッと顔を寄せてきたかと思ったら頬を噛むとか理解不能…。勿論甘噛み、軽くだったけどさ。

はっ!まさか…味見!?人間の肉に興味が出ちゃったの!?


『…いやさすがにそんな事はないか…。ていうかあたしはガーディの姿で一緒に寝たいんだけどなぁ』


人型の紅矢と寝るとか無理、気まずくて死んじゃう。雷士もいるし!


…まぁいいか、きっとからかったんだろうし。とりあえず行かなくちゃ!部屋も取らないといけないしね。


距離は縮まったと思うけれど…やっぱり何を考えてるかよく分からない俺様だ、紅矢は。



−−−−−−−−−



「はい、こちらお部屋の鍵です。奥の104号室へお願いしますね」

『ありがとうございます!』


ポケモンセンターに行き受付を済ませる。夜でもしっかり対応してくれるジョーイさんは優しいなぁ。一緒にいるタブンネちゃんもニコニコしていて可愛い!

鍵を受け取り指定された部屋へと入る。紅矢ももう夢の中だ。皆の寝顔を見ていたらあたしも眠くなってきた…。

ベッドに腰かけバッグの中身を整理していると、ふとライブキャスターが目に入った。


(…うん、ビックリさせたいから黙って帰ろうかな!) 


斉にはちゃんと連絡を入れろとか怒られそうだけれど…。


ハル兄ちゃん、皆、あたし少しは役に立てているかな。

暖かく出迎えてくれるであろう家族の笑顔を思い浮かべ、あたしの瞼はゆっくりと閉じていった。



to be continue…


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