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…以前プラズマ団と対峙した時に紅矢が言った、何かにすがりつかなきゃ生きていく事も出来ないクソ野郎という言葉。
あれは…そのトレーナーを通して出た言葉なのかもしれない。そして指図されるのが嫌いだとか、1人の方が気が楽だとか言ったのは、きっと頼られる事に疲れた紅矢が誰かに頼る事を諦めてしまったから。
『…じゃあ、紅矢はどうしてあたしについて来てくれたの?』
〈あぁ?前も言っただろうが。借りを返す為だよ。…それに、あの時…〉
噛み付いた俺を真っ直ぐに見据えて、引き下がらず強い意思で助けようとした。見返りを求めるでもなく、ただそうしたかったからだと笑った。
(コイツなら、もしかしたら…そう思った)
『えー何々?あの時ってどの時?』
〈…うるせぇ、燃やすぞ〉
『何でそうなった!?』
全く…珍しくいっぱい喋ってくれたかと思えばこれなんだから。
『ーっクシュンッ!』
〈!〉
う…くしゃみ出ちゃった。春とは言え夜は少し冷えるなぁ…。
〈…寒ぃのか〉
『んー、雷士を抱いているからお腹側は暖かいけど…背中の方がちょっとね』
そろそろ中に戻った方がいいかな…でもまだ星空も見ていたいしなぁ。
心の中で迷っていると紅矢がゆっくり近付いてきて、背後に回ったかと思えばあたしの背中にピトリとくっついて腰を下ろした。
『…え、何、どうしたの』
〈仕方ねぇから体温分けてやる。風邪でも引かれちゃウゼェからな〉
『な、何が目的ですか紅矢様!!タダでこんな事してくれるなんて裏があるとしか思えな〈死にてぇのかゴラァ〉ゴメンなさい!』
一体どうしちゃったんだろう紅矢…。でも凄く暖かい…じんわりと優しく熱が広がる。やっぱり炎タイプだからかな?
〈…ヒナタ、テメェは俺をガッカリさせてくれるなよ〉
『…!あは、勿論だよ紅矢』
嬉しい、初めて名前を呼ばれた。ニヤける顔もそのままに振り向くと、後ろ姿だから紅矢の表情は見えなかったけれど尻尾を小さく振っていた。…ひょっとしたら照れていたりして。
いつかもっと深い意味で、こうして背中合わせで生きていけると良いよね。紅矢があたしや…雷士達を頼る事が出来るように頑張るから。
〈この見返りは甘ぇもん5品で手を打ってやる〉
『やっぱりタダじゃなかった!!』
…紅矢との距離が縮まった代償は小さくなかったようです。
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