long | ナノ







3

「ひとまずガーディの治療は終わりましたが…その子達も休ませてあげましょうか?」

『あ…そうですね、お願いします!』


絆創膏を貼った指を揺らしていると、ジョーイさんにそう声をかけられたから素直に応じる。雷士も蒼刃も万全の状態にしてあげたいしね。

2匹を預けている間ヒマなので、ロビーのソファに座っていたガーディの隣に腰を下ろした。


〈…んだよ〉

『もー、喧嘩っ早いのはストレス溜まってるからなんじゃないの?糖分とって疲れを解消させよう』


カバンから先ほど買ったもう1本のモモンジュースを取り出し、ガーディの口元に差し出す。


〈何だコレ〉

『モモンの実で出来たジュースだよ!甘くて美味しいんだけど…そういうの嫌い?』

〈…甘ぇモンは好きだ〉


そう呟くと器用にペットボトルを傾けジュースを飲み始める。うわ、可愛い…!そういえばヒウンアイスを奪ったくらいだし、甘い物好きなのは納得かも。


『…あなたさ、一匹狼…あ、間違えた。一匹ワンコなの?』

〈テメェ燃やされてぇのか〉

『冗談ですゴメンなさい』


この子のドスのきいた声と性格からして本気だろうから恐ろしい。…でも何だか昨日より雰囲気が柔らかくなった様な気がする。


〈…群れるのは好きじゃねぇ。1人の方が気が楽だからな。…だが…、〉


チラリとガーディがあたしを見上げる。ん?どうしたんだろう…?


〈…何で俺を助けた。普通噛み付いたヤツに構おうなんざ思わねぇだろ〉

『んー…そうなのかな。他の人はどうか分からないけど、あたしが助けたいと思ったら助けるよ。だからあなたの事も同じ。傷ついているのを放っておけなかったからかな。でもそれだけじゃないよ、あなたが意外と正義感強いって分かったしね!』


プラズマ団に1人で立ち向かい喧嘩を売る度胸。それは結果的にあの女の人達を助けたから。


〈…はっ、変なヤツ〉

『え、酷い。たまに言われるけど…』

〈だが…悪くねぇ〉


ん?今悪くないって…?ガーディを見ると彼もこちらを見て微かに笑っていた。


〈テメエはトレーナーなんだろ。だったら俺を連れていけ、丁度退屈していた所だ。…このジュースの借りも返さなきゃならねぇしな〉


ちっさ!借りちっさ!助けた事じゃないんだ!?

…でも、つまりこれってあたしについて来てくれるって事だよね。


『あは、仲間にしちゃって良いんだね?』

〈バカ野郎、テメエが俺の下につくんだよ。感謝しな、誰かを手下にするのは初めてだ〉

『全然喜べないんですけど!!』


雷士ととはまた違ったマイペースくんだな…。俺様というか我が道を行くというか。

…あ、思いついた!


『紅矢、あなたの名前は紅矢ね』

〈あ?こうや?〉


放たれた矢の様にどこまでも真っ直ぐ駆ける紅蓮の炎。その炎はたちまち全てを呑み込んでいく。


『良い名前じゃない?あとあたしはヒナタ、よろしくね!』

〈…紅矢、か。はっ…仕方ねぇから貰ってやるよ〉

『やっぱ俺様…。あ、あなたのトレーナーになった記念にモフモフ尻尾触ってもいい?』

〈3秒後に死んでもいいならな〉

『えぇええええ!!』


こうして何だかんだと新しい仲間、俺様ガーディの紅矢が加わりました。



to be continue…


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