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『凄い凄い!見て2人共!大きな街だねー!』
〈あんまりはしゃぐと転ぶよヒナタちゃん〉
〈都会とはこういう所を言うのですね!〉
相変わらずダルダルな雷士と少しだけはしゃいで見える蒼刃を抱え、首がおかしくなってしまうんじゃないかという程高いビル達を眺める。
あたし達は今ヒウンシティへとやって来ていた。昨日ホミカちゃんのライブに協力したお礼だと言って彼女のパパさんが船を出してくれたのだ。
正直大した事は何もしていないのに申し訳ないけれど、気にするなと言ってくれたので厚意は有り難く頂く事にした。
それにしても…ヒウンシティはビル、ビル、ビル!カントーのヤマブキシティより都会な気がする。
〈ヒナタちゃん、ここでは何するの?〉
『おぉっよくぞ聞いてくれました雷士くん!ただ通り過ぎるんじゃ勿体無いからね…ちゃーんと何があるのか調べたの!』
ジャジャーン!とバッグから取り出したのはイッシュ地方観光ガイドブック。その中にあるヒウンシティのページを開く。
絵画展やメダル事務局、バトルカンパニーなど見所はたくさんあるけれど…その中でも目をひいたのはグルメ特集の項。
『ふふふ…ヒウンシティの名物ヒウンアイス!これを食べなきゃ先へは進めないよ!』
〈あぁ…さすが食いしん坊のヒナタちゃんらしい答えだね〉
『食いしん坊とか雷士には言われたくない』
〈やめろ雷士!ヒナタ様のお言葉に何か文句があるのか!?〉
〈はいはい何も無いからさっさと行くよ。行列が出来るんでしょ?〉
サラリと蒼刃の言葉をかわして先へと促すマイペース雷士。仲が良いんだか悪いんだかよく分からない関係だなぁこの子達…。ってそれよりも!
『そうだよ無くなる前に急がなきゃ!待っててヒウンアイス!』
〈ちょ、ヒナタちゃんあんまり揺らさないでよ吐くから〉
〈吐くなら後ろを向いて吐け!そのままの状態で吐いたらヒナタ様のお顔や御髪にかかってしまうだろう!〉
〈汚い事言わないでよ蒼刃。ちゃんとヒナタちゃんに被害いかない様にやるし〉
『いや後ろの人の気持ちも考えなさい!ていうかその前に吐くのをやめよう!?』
…その日は人生最速に走れた気がする。
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『うわ…!本当に凄い列…』
写真にもあったけれどお店の前はすでに大行列。特に若い人達で溢れて活気に満ちていた。
『でも諦めないんだからね!行くよ2人共!』
〈…ヒナタ様、良い事を思い付きました〉
『え?』
行列を見て蒼刃が何やら閃いたらしい。え、何々?
〈良い事って…確実にアイスが買える方法って事?〉
〈まぁそんな所だ。雷士、お前も手伝え。見ていて下さいヒナタ様!必ずやアイスを貴女の手に!〉
やたらキラキラした目で見つめてくる蒼刃には何も言えなかったよ…。人混みは危ないからと言ってオープンテラスの空いている席に無理やり座らされた。なので少し遠目から見守る事にする。
(それにしても一体どうやって…)
雷士に何やら耳打ちしたかと思えば、2人は擬人化して行列に近付いていく。何で擬人化?と不思議に思っていると蒼刃が衝撃的な行動に出た。
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