long | ナノ







3

「ん…?何だお前は」


あたしに気付いたプラズマ団は男女2人組。最後に出くわしたのはフキヨセ以来…かな。


「!待て、この子供…確かリストに乗っていた奴よ!」

「あ…確かに!そうかコイツが!」

『どうしよう雷士…やっぱりあたし知らない間に有名になってるみたい』

〈いいんじゃないの、この人達みたいに如何にも名前のなさそうな下っ端に比べたら〉


いやいや有名って言ってもブラックリストに乗ってる的な意味でだけどね!

まぁとりあえず…


『あなた達、リュウラセンの塔に何をしに来たんですか?』

「ふん、そんなことお前には関係ないだろう。大人の事情に首を突っ込むもんじゃないぞ」

「そうよ、大人しく帰りなさい。もし嫌だと言うなら…力ずくで追い返してあげるわ!」


2人組が同時にボールを懐から取り出しあたしに向けて挑発する。うーん…やっぱりこうなっちゃうんだね。

プラズマ団はきっとレシラムやゼクロムの手がかりを探りにきたのだと思う。もしくはあたしみたいにレシラムの目撃情報を手に入れて探しにきたか…

いずれにせよこのまま黙って引き下がるわけにはいかない。あたしは目的があってここまで来たのだし、何より彼らを見逃すつもりはないのだから。


「やはり大人しく言うことを聞く子ではないようね。だったらプラズマ団の恐ろしさを分からせてあげるわ!」


女性団員がレパルダス、男性団員がダストダスを繰り出した。うわぁレパルダス可愛い…って見とれている場合じゃないね!

 
(さっきは出せなかったし…このコンビは初めてだからお願いしようかな)


あたしが取り出したのは蒼刃のボール。そして目線は隣りでプラズマ団を睨み付けている紅矢へ。


『紅矢、お願い出来る?』

〈聞かれるまでもねぇ、叩きのめしてやる〉

『あ、うん、ほどほどにお願いします!』


紅矢はやる気満々らしい。し、死人は出ないようにしないと…!

そしてもう1人、我が家のエースにボールから出てもらう。


『蒼刃、紅矢と組むのは初めてだけど…お願いしていい?』

〈ヒナタ様のご命令ならば断るはずもありません。必ず勝ちます!〉


おぉう、充分やる気満々みたい。それもそうか…蒼刃もプラズマ団のこと嫌いだもんね、サンギ牧場のことがあったし。

何にせよこのコンビなら絶対勝てるとあたしは信じている。あたしもさっきのゲンさんみたいに正確な指示を出さなきゃ!


「痛い目見るわよ…!レパルダス、ウインディにシャドークロー!」

「ダストダス!ルカリオにきあいだまだ!」

『紅矢、かえんほうしゃで迎え撃って!蒼刃、避けてはどうだん!』


レパルダスのシャドークローが炸裂する前に迎え撃つ。有り余る技の威力を持った紅矢の得意な戦法だ。蒼刃も切り返しが速いし避けることに何の心配もないだろう。

…と、思ったのに。身軽なレパルダスは寸前の所でかえんほうしゃをヒラリとかわしてしまった。ダストダスにはどうだんは命中したけれど、相性的に大きなダメージは与えられていない…。

うん、次は相手を入れ替えよう。レパルダス相手なら蒼刃は有利だし、早めに倒してしまえば紅矢と協力してダストダスに攻撃出来る!


「レパルダス!ウインディにシャドーボール!」

『!蒼刃、メタルクローでダストダスに向かって弾き返して!』

〈はい!〉


あたしの咄嗟の指示を物ともせず、蒼刃が紅矢に向かって放たれたシャドーボールを打ち返す。それは見事にダストダスへと命中し、その大きな体が衝撃でよろけた。


「何…!?」

『続けてレパルダスにはどうだん!』

〈はぁっ!〉


必中技であるはどうだんを避けることは出来ず、モロにくらったレパルダスは効果抜群でダウン。残りはダストダス、一撃で決める為にここは大技で…!


『紅矢!フレアドライブ!』

「く…ダストダス、あまごいだ!」


…え!?ダストダスってあまごいを使えるの!?

紅矢のフレアドライブよりもダストダスのあまごいの方が早かった。途端にその場に降り注ぐ雨…しまった、これでは紅矢の技の威力は大幅に落ちてしまう!


〈はっ…甘ぇんだよバカが!!〉

『!』


狼狽えてしまったあたしと雨に構うことなく紅矢がフレアドライブを繰り出す。それは威力を一切衰えさせることなく、轟々と燃え盛る炎を纏った紅矢が容赦なくダストダスを襲い、爆風が消えた後相手は目を回して倒れてしまった。


「な…何だと!?」

〈この程度の雨で俺の炎が弱るわけねぇだろうが〉


…す、すごい!さすが紅矢様!

レパルダスとダストダス両方とも下されたプラズマ団員は悔しそうに唇を噛む。そして吐き捨てるように言葉を紡いだ。


「く…一端引くしかないようね。けど覚えてなさい!最後に笑うのは私達よ!」

「じきに起こる革命を楽しみにしてな!」


プラズマ団員は逃げるように姿を消した。よかった、ここを守ることが出来て…それにしても革命とはどういう意味だろう?


『…ありがとうね蒼刃、紅矢!2人共強かったよー!』

〈当然だろ〉

〈ヒナタ様のご指示の元、俺は動いたまでです〉


あは、相変わらず反応正反対なんだよね…そこが面白いのだけど。とにかくこのコンビの初ダブルバトル勝ててよかった!


『よし、それじゃ気を取り直してリュウラセンの塔行きますか!』


最後にプラズマ団が残した言葉が気になるけれど…あまり考え過ぎても仕方ない。今目の前にあることを1つずつこなしていかないとね。

果たしてここにレシラムはいてくれるのだろうか。あぁどうしよう、何だかドキドキしてきたよ。

あたしは紅矢と蒼刃をボールに戻し、そして悠然とそびえるリュウラセンの塔の入口をくぐった。



to be continue…



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