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気を取り直してネジ山を進み、途中に出会うトレーナー達とバトルをしつつ何とか出口へ到着した。
いやぁ道案内的な意味ではゲンさんのこと正直信用していなかった部分もあったけれど無事着いてよかった!
「出口だよヒナタちゃん、お疲れ様」
『ありがとうございましたゲンさん!ルカリオくんも!』
〈いいえ、当然のことをしたまでです〉
「君のような美しい波動を持った子と出会えてよかった、イッシュまで来た甲斐があったというものだよ。私達はここまでだが…また会おうヒナタちゃん!」
『はい!お元気でー!』
ネジ山の出口…入口でもあるけれど、ゲンさんとルカリオくんとはここでお別れ。彼らはまた修行を続けるのか、颯爽とネジ山へ戻っていった。短い間だったし衝撃的な出会いだったけれど楽しかったなぁ…。
彼もいつかシンオウに帰ってしまうのだろう。…鋼鉄島か、どこにあるのかな。いつかシンオウに行くことがあったら寄ってみたいと思う。
『…さて、セッカシティに着いたことだし…早速リュウラセンの塔に行きますか!』
リュウラセンの塔の調査もだけれど、何よりレシラムの目撃情報の真偽を確かめたい。もし今も本当にレシラムがリュウラセンの塔にいるのなら…絶対会いたい!
でもまずはリュウラセンの塔を探さないとね、入れるかどうかも確認しないと…。既にうとうとし始めた雷士には悪いけれど、あたしは小走りでセッカシティを駆けた。
−−−−−−−−−
〈本当いい度胸だなテメェは…この俺をこんな風に使うなんてよ〉
『ご、ゴメンってば…でも本当に寒いんだもん!』
うん、甘くみていたセッカシティ。そりゃこれだけ寒かったら疾風もギブアップするよ…!
意気込んでリュウラセンの塔へ向かったはいいものの、到着した当初は感じなかった寒さが段々肌を刺すようになったわけで。雷士を抱いていてもままならなくなったあたしは正直使いたくなかった最終手段に出たのである。
『うう…暖かい…おまけにモフモフで気持ち良いよ紅矢様ー!』
そう、あたしは我が家で一番体温の高い紅矢にカイロとなってもらっているのです。
隣りをのしのしと歩く紅矢にピッタリ寄り添っているとポカポカ熱が伝わってきてすごく暖かい。雷士も寒かったのか、紅矢の背中の上に寝転んで暖をとっている。
まぁあたしにとっても紅矢にとっても歩きにくい体勢ではあるけれど、それでも寒いのに比べたら全然マシだよね。あ、紅矢はもっと迷惑かな。
『ゴメンね紅矢、この借りは絶対返すからね!』
〈はっ…随分素直じゃねぇか。で、何してくれんだ?〉
『え?んーそうだなぁ…パフェ奢ってあげる!』
〈チョコバナナクレープ、フルーツタルト、杏仁豆腐、ストロベリーアイス、モモンジュースもつけろよ〉
『歪みないね横暴キング!!』
〈あ゛ぁ?文句あんのか〉
『喜んで用意させて頂きます』
もぉおお紅矢に借りを作ると3倍返ししなきゃならないの!?いやまぁ紅矢らしいと言えばそれまでなんだけれどね!
それでもいつもの如く鋭い牙をちらつかせて脅されたらあたしはイエスと言うしかないわけで…。
こんなツヤツヤモフモフの毛並みを維持出来ているのはあたしのブラッシングのお陰だよ!と言いたいのをグッと我慢した。
〈ん…ヒナタちゃん、あそこ〉
『!』
少し先に見える天高くそびえる塔。きっとあれがリュウラセンの塔だ。確かに古めかしい中にも神秘的なオーラがあって、伝説のポケモンに縁があるというのも納得出来る。
真っ直ぐ塔に向かって歩いていき、もう目の前という時。紅矢がピタリと歩みを止めた。
『紅矢?』
〈…このニオイ…ちっ、胸糞悪ぃ先客がいるみてぇだぜ〉
『え…、』
紅矢がこんなにも嫌悪を現す相手は大体予想がつく。先客、まさか…!
急いで塔へと向かい中に続く橋まで行くと、そこには案の定黒ずくめの人が2人いた。
(悪い予感って当たるもんだね…)
シャガさんの杞憂は的中してしまったらしい。何だか少し久し振りな気もするけれどね。
そう、今まさに塔へ入ろうとしている特徴的な衣装を身に纏った2人組は…プラズマ団だった。
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