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『あああの、あたしシャガさんにお聞きしたいことがあってここまで来たんです!』
「聞きたいこと?」
『はい!』
よかった、まさかこんなに早く会えるなんて思わなかった。見た所他にトレーナーはいないみたいだし…今なら時間を取ってもらえるかもしれない。
「ふむ…よろしい、君の話を聞こう。だがその前に!」
『へ!?』
シャガさんは腰に取り付けたボールを1つ取り出し、あたしに突き付けた。あれ、この展開はもしや…
「君をかなりの強者と見受けた。どうかね、ちょうど私も手が空いた所だ。一戦交えてはくれないか?」
(やっぱりぃいいい!!)
何か最近バトル多いよね…いやまぁバトルは好きな方だし、ジムトレーナーすっ飛ばしていきなりジムリーダーと戦えるなんてラッキーなのだと思うけれど。
…話は聞いてくれるみたいだし、せっかくだから挑戦しますか!
『はい、お願いします!あ、でも…あたしジム戦に来たわけじゃないんですけどそれでもいいんですか?』
「構わん、ただ私が君とバトルしたいというだけだ」
『…うわぁあああ何か今すごい感動した!どうしよう雷士シャガさん直々にあたしとバトルしたいって言われちゃったどうしよう!!』
〈落ち着きなよヒナタちゃん、ハウス〉
ハウスってあたしはワンコか!あ、間違えたガーディか!
…今の紅矢が聞いていたら確実に死亡フラグだよね。自分で言ってヤバいと思った。
「ふ…随分そのピカチュウと仲が良いようだ。では早速始めよう、こちらへ来たまえ」
こちら…そっか、こんな狭い所じゃバトルは無理だよね。
シャガさんに案内されドラゴンの背を進むと、薄暗い道から一変。松明に照らされたフィールドに辿り着いた。どうやらこの場所はちょうどドラゴンの頭部に当たるらしい。
「不安定だと思うだろうが安心しなさい。このドラゴンはどれだけ暴れてもビクともしない!」
『そ、そうなんですか…』
いや確かにビクともしないかもしれないけれど…落ちたらさすがに死ぬ、よね?だって底見えないし!
(…と、とりあえず考えないようにしよう。集中、集中だ!)
「ふむ、よい面構えになったな。では使用ポケモンは1対!どちらかが戦闘不能になったら終了だ!」
『はい!』
1対1のシングルバトル…一体シャガさんはどんなポケモンを出すのだろう。ドラゴンタイプの使い手だという話だし、勿論その系統だとは思うけれど。
「行くぞ、オノノクス!」
『!』
シャガさんの放ったボールから飛び出してきたのは何とも立派なオノノクス。うわ、初めて見た…!確かキバゴの最終進化系ですごく強いんだよね?
シャガさんのオノノクスは闘争心を剥き出しにするでもなく、ただ静かにこちらを見据えている。こ、これは…やっぱりかなり強そう。
〈相当やるだろうね…威圧感がハンパないよ〉
『う…、』
やっぱりポケモンから見ても明らかに強いって分かるんだ。ここは例に習って相性のいい氷雨でいこう!
腰から氷雨のボールを取り出そうとした瞬間、違うボールがカタカタと揺れた。これは…疾風?
〈バトルしたいってことじゃない?〉
『そ、そうなのかな…?』
氷雨のボールから手を離し、代わりに疾風をボールから出す。するといつも優しげな丸い瞳が少し吊り上がっていた。
〈マスター、ボク、やってもいい?〉
『…!でも…疾風はドラゴンタイプと相性悪いでしょ?』
〈だからこそ、だよ。おまけに相手はすごく強いんでしょ?ボク、そういう相手に勝てるようにもっと強くなりたいし…それに、ドラゴンタイプが苦手なのは向こうだって、同じだよ〉
〈まぁ確かにね〉
…疾風ってやっぱり蒼刃の弟子だなぁ。強い相手と戦って自分を高めるって所がそっくり。
でも…ビブラーバの時はかなり臆病だったのに、今となってはこんな強い目をするんだから凄いよね。うん、あたしはその意志を汲まなきゃ!
『分かった、お願いね疾風!』
〈うん!〉
「ほう…フライゴンか、このシャガにドラゴンタイプで挑むとは中々肝が据わっているな。相手にとって不足無し!ジム戦と同じく本気で行くぞ!」
凄い、シャガさんとオノノクスの目つきが更に鋭くなった…!同時に空気がビリビリと震え出す。これが歴戦の猛者ってやつなんだ、きっと!
〈マスター、ボク負けないよ。もっと強くなって、マスターを守るのが…ボクの目標だから!〉
『…うわぁあああ可愛いぃいい!!何で疾風ってば進化してもそんな可愛〈いいから集中しなよ〉いったぁ!!』
…雷士お得意の尻尾ビンタが炸裂しました。確かにあたしが悪いから、素直に反省。
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