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3

とまぁやる気満々で出発した…けど、


『うぅ…何でこの道こんなデコボコなの…!?』


11番道路と表示されているこの道、運動不足なあたしには何とも厳しい場所だった。

やたらデコボコしていて非常に歩き辛い…。絶対これ足パンパンコースだよ!


〈ちょっとヒナタちゃん、もう少し気をつけて歩いてよ。僕にまで振動伝わって酔う〉

『あ―――っ自分で歩かない子の苦情は受け付けません!!』


気をつけてって…こんな道じゃ無理だってば。あたしの頭の上でのんびりしてるんだから我慢しなさい雷士!



「ねぇ君!私達とバトルしましょ!」

『へ?』


少し休憩しようと立ち止まったあたしに声をかけたのは、チアガール姿の女の子2人。ちょうど歩くのに疲れていた所だし…気分転換に頑張ろうかな!


『うん、喜んで!』

「ありがとう!それじゃ早速いくわよ!」


チアガールちゃん達が繰り出したのはチラーミィ2匹。やっぱり2人組なだけあってダブルバトルか…そしてチラーミィ可愛い。


『よーし…嵐志、氷雨!お願い!』


対するあたしは嵐志と氷雨。嵐志はともかく、氷雨は初バトルだ。ちゃんと息を合わせないと…!


「ラプラスと…ウインディね!負けないわよ!」


…ん?ウインディ…?

チアガールちゃんが言う通り、氷雨の隣りには間違いなくウインディが。…え、あたし紅矢出したっけ?


〈何をボーッとしているのですかヒナタ君。嵐志の特性をお忘れで?〉

『え…あ、そっか!』


氷雨に呆れたような顔をされ、頭をフル回転させてやっと思い出した。そうだ、ゾロアークである嵐志の特性はイリュージョン。控えのポケモンに化けて出てくるっていうやつだ。

凄い、本当に紅矢…っていうかウインディ。フサフサ感とか逞しい四肢とか、まるで本物。


〈ひーめさん!オレの勇姿を見て惚れてくれよ!〉

『…あ、やっぱり気のせいだねあれは嵐志だ』

〈果てしなく嵐志だね〉


だって紅矢はあんな緩んだ顔しないし!というか紅矢の顔でニコニコされると何か悪寒が…!


〈それよりもヒナタ君、バトルは始まっていますよ〉

『!』


危ない危ない、震えている場合じゃなかった!チアガールちゃんがチラーミィに指示を出しこちらへ向かってくる。

嵐志と氷雨の初ダブルバトル…勝ちたい!


「チラーミィ!ラプラスにスイープビンタよ!」

『氷雨!こおりのつぶて!』


尻尾を振り上げ飛びかかるチラーミィを素早く氷の弾丸で迎撃する。氷雨の鋭い攻撃にチラーミィは弾き飛ばされた。


〈おー、スゲーなさめっち!〉

〈それほどでも〉

「チラーミィ!ウインディにたたきつける!」

『!嵐志、バークアウト!』


もう1体のチラーミィが飛び上がりたたきつけるを繰り出す前に、嵐志のバークアウトで阻止。直接攻撃もカッコいいけれど…やっぱり特殊攻撃って便利だよね。


『氷雨、みずのはどう!嵐志、つじぎり!』


間髪入れずに次の攻撃へ。するとどちらも見事命中!けれどまだダウンはさせられないか…結構強いなぁチラーミィ。


「ちょ…ウインディってつじぎりが使えるの!?私そんなの聞いたことない!」

「た、確かにそうね…」


…あ、これってもしかしてチート扱いになるのかな。この子達は当然嵐志をウインディだと信じているわけだし…どうして通常覚える筈のない技を使えるのか不思議でたまらないのだろう。


『なーんかちょっと騙してるような気分だよね…』

〈何言ってんだよ姫さん、これは立派な戦略だぜ?〉

〈その通りです、情けは無用ですよ〉


まぁ…確かに何も卑怯なことはしていない。それなら気にしなくてもいいかな?


「それにしてもやるわね…だったら、」

『…?』


チアガールちゃん達が目を見合わせ頷く。何かする気なのだろうか…?


「「ダブルでスピードスター!!」」

『え…!』


勢いよく飛び上がった2体のチラーミィが同時にスピードスターを繰り出す。無数の攻撃…これは必中の技だ!


〈避けられない…なら、迎え撃つしかないね〉

『う、うん!氷雨、もう一度みずのはどう!嵐志、シャドーボール!』

〈はい〉

〈おー!〉


四方八方から不思議な色の星形が氷雨と嵐志を襲う。水を巻き上げた氷雨はスピードスターを撃ち落とし、辛うじて防ぐことが出来た。

でも嵐志は氷雨と違って広範囲の技は持っていない。完全に防ぐことは出来ず、いくつかのスピードスターが命中してしまった。


〈ぐ…!〉

『嵐志!』

「…あ、あれ!?ウインディじゃない!?」

〈…げ、イリュージョン解けちまったな〉

『そっ、そっか…攻撃を受けるとゾロアークの姿に戻っちゃうんだっけ』


でも驚いてるチアガールちゃん達には悪いけど、そろそろ決めさせてもらうよ!


『氷雨、れいとうビーム!嵐志、つじぎり!』


素早く発射された冷気の光線が地面ごと凍らせチラーミィに直撃。そして背後に一瞬で回り込んだ嵐志の一閃によって、もう1体のチラーミィも目を回して倒れてしまった。


「ち、チラーミィ!」

「あー…負けちゃったわね」

『…!や、やったぁー!勝ったよ2人共!』

〈当然です〉

〈どーだ姫さん!惚れた?〉

〈んなわけないでしょ、一昨日きやがれ〉

〈何でらいとんが答えんだよ!つーかひでぇ!〉

『あはは…でも凄かったよ氷雨も嵐志も!』


嵐志は相変わらず素早くて鋭いし、氷雨は水と氷どちらの技も威力が高かった。チアガールちゃん達も悔しがってはいたけれど最後は笑って握手してくれて嬉しかったなぁ。

何より氷雨との初バトルを勝利で飾れたことが嬉しい。あたしは彼のトレーナーとして失望させてはいけないから。


『あ…見て!あれがソウリュウシティかな?』

〈だろうね、すぐそこだよ〉


デコボコ道を抜けると見えてきた街。きっとあそこが目指していたソウリュウシティだ。

まずはシャガさんに会わないと…聞きたいことが山ほどあるから!

そしてあたしは疲労した足のことも忘れ、ソウリュウシティに続くゲートへ一目散に走っていった。



to be continue…



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