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その後も順調に仕事をこなし、夜も更け店仕舞いまで手伝ったあたし達はやっとセンターに戻ることが出来た。
『は〜疲れた!サービス業って大変だね…ジョーイさん凄いなぁ』
ポケモンセンターで宿泊の手続きをし、指定された部屋へ入ると真っ先にベッドに飛び込んだ。うー、フカフカで気持ち良い…このまま寝れる!
「お疲れ様ですヒナタ様!」
「ま、マスターは男のフリしなきゃいけないし…ボク達より、大変だったよね」
〈でもヒナタちゃん割と楽しそうに見えたけど〉
『えーそうかな?』
「そーそー、多分姫さん元々尽くすタイプなんだろーな。世話好きっつーか…な、こーちゃん?」
「はっ…お人好しなだけだろ」
…まぁ確かに楽しかったとも思う。向いているかどうかは分からないけれど。
『…よし、明日の午前中までお願いって言われたし…頑張ろうね皆!』
これだけ美形揃いだ。それをフルに使って稼げるだけ稼いで、アオイさんのお店にこれからもいっぱいお客さんが来るように頑張らなきゃ!
とりあえず今日はいっぱい食べてゆっくり寝よう。
「…君達は賑やかですね」
『あは、楽しいでしょ?氷雨も』
「つーかさめっち凄かったぜ!ちょっと笑えば女の子みーんな落ちちまってさー」
〈人間嫌いにしちゃ扱い上手いしね〉
「まぁ僕は生きていく為にそれなりに世渡りの術も学んできましたから…。自分の顔なり何なり、使えるものは何でも使います」
『おぉ、何か大人…!演技力もちょっと怖いレベルだったよ』
蒼刃が言った通り、申し訳ないけれど氷雨の笑顔は確かに胡散臭かった。でもそれでも女の子達がメロメロになっちゃうってことは…やっぱり魅力的だから。
『今日で氷雨ファンたくさん出来たみたいだし…嫌かもしれないけど明日も営業スマイルお願いします!』
アオイさんの為にも!そう告げると、氷雨はニヤリと笑い寝そべったままのあたしの顎を掴み自分の方へと向かせた。うぇ、ちょっと苦しい…っていうか何事?
「えぇ、確かに嫌ですよ。ですが…これは君の為でもありますから」
あたしの為、という意味が分からないでいるといつの間にか氷雨の綺麗な顔が鼻がくっつきそうなくらい間近にあった。あ、あれー?何でこんな近いの?
「…!氷雨っ!ヒナタ様から離れろ!」
「…やれやれ、番犬が煩いですね」
ちゅ、
『…え、』
「あれだけ人間のいる所に長時間いて差し上げたのですから、これくらいのご褒美は頂いてもいいでしょう」
「―――っ氷雨ぇえええ!!」
「うわ…さめっちもかよ…!」
「…ちっ、」
(く、口じゃないだけ…マシ、かな…)
おでこに触れた柔らかいものは、驚いている皆の反応を見る限り氷雨の唇で間違いない…らしい。え、ていうか何で?
〈いいからヒナタちゃんはとっとと拭きなよ〉
『いだだだ擦れてる!擦れてるよ雷士くん!』
〈そのまま触れた部分の皮だけ磨り減ってしまえ〉
『うわぁあああ何か恐ろしいこと言ってるぅううう!!』
雷士に素早くタオルで擦られているあたしのおでこ。いやいや痛い痛い!本気で洒落にならないこのピカチュウ様!!
すっかり赤くなってしまったおでこをさする。すると殴りかかろうとしている蒼刃を必死で止めている嵐志と疾風、それを軽く受け流している氷雨が目に映った。
(…よく分からないけど、氷雨は笑っているし…まぁいいか)
その笑顔がさっきみたいな嘘の笑顔じゃなかったから、おでこチューのことも忘れて何となく嬉しくなったのでした。
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「ほんっとーにありがとうヒナタちゃん!アナタ達のお陰でリピーターが増えそうだわぁ〜!」
『いえ、あたし達そんな大したことしてませんし…。これからどんどんお客さん来るといいですね!』
「そうねぇ、本当はもっと働いてほしい所だけど…そこまでワガママ言えないし。でも大丈夫よ、私の昔の友達も手伝ってくれるって言ってるもの!」
アオイさんの元でのお手伝いも終わり、とうとう出発の時を迎えた。あたし達の働きでこのビレッジブリッジに少しでも人が集まるようになってくれたら嬉しいな。
「短い間だったけど…引き止めてゴメンなさいね。ソウリュウならここを出て真っ直ぐ進めばすぐ着くわよ!」
『はい、ありがとうございます!』
お土産にクッキーまで貰い、あたし達はビレッジブリッジを後にした。
最初はビックリしたけれど…アオイさんいい人だったなぁ。料理も美味しかったし、きっとあの味を目当てに来るお客さんも増えるだろう。
『さてと…少しだけ時間かかっちゃったけど、ソウリュウまで行きますか!』
あたし達のお目当ての場所、ソウリュウシティ。そこでシャガさんに会うのが今の目的なのだ。
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