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「そのままリオルを捕まえろ！」
〈っ！？〉
『え！？』
でんこうせっかを喰らったミネズミは寸での所で急所を避け、リオルくんの片足を掴み羽交い締めにした。
「かみつく！」
それは至近距離過ぎて逃れられない。けれど格闘タイプにはあまり効果はない筈、そう安堵したのに。
「じたばただ！」
リオルくんがかみつくで怯んだ隙に繰り出されたじたばた。その技がどんな効果を持つかは知っている。自分の体力が少なければ少ないほど威力が上がる技…。
（体力は限界に近い今のミネズミにそんな技を使われたら…！）
〈ぐ、うぁあ！！〉
案の定リオルくんは大ダメージを受けてしまった。地面に倒れ込み苦しそうに呻いている。
思わず駆け寄ろうとした時、プラズマ団が信じられない言葉を放った。
「ふん…俺達に楯突くからこうなるんだよ。さて、逆らう奴には…とどめだ」
『は…！？』
〈…マズいね〉
〈り、リオル！〉
この人一体何を…！？もう闘えないリオルくん相手に、今にも倒れそうなミネズミをまだ差し向けようって言うの！？
全然ポケモンを大切にしていない…自分のポケモンでさえも。
そんなの…そんなの絶対許せない！
『雷士！エレキボール！！』
「何っ！？」
雷士が素早く肩から飛び出し攻撃を浴びせる。けれどさすが相棒、何も指示していないのにすでに瀕死に近いミネズミの為に威力を加減してくれたらしい。
〈どこの地方にもいるんだね…こういう胸糞悪い人間ってさ〉
『…あなた最低だね。こんなのまともなトレーナーのすることじゃない』
沸々と怒りが込み上げてくる。これが、プラズマ団なの？
「ほら！こっちだよこっち！」
「おーいハーデリアー！」
「！くそ…ここまでか。いいかよく聞け！俺達はあの方の元でイッシュ地方を…世界を変える！必ずお前のポケモンも解放してやる！覚えておけ！」
トゲトゲくんとオーナーさんの足音がすぐ近くまで聞こえてくると、プラズマ団はそう捨て台詞を残し煙玉の様な物を叩き付け消えてしまった。
『…ありがとう雷士、さっきは加減してくれて』
〈いいよ。ヒナタちゃんの性格は知ってるから〉
〈…ぅ…っ〉
傍らから聞こえた小さな呻き声。そうだ、早くリオルくんをポケモンセンターへ連れて行かなきゃ！
なるべく動かさない様にそっとリオルくんを抱き上げた。彼は薄く目を開けたけれどやっぱりダメージが大きいのか力無くうなだれている。
「あ、お前！ハーデリア見つけてくれてありがとうな！…って、どうしたんだそのリオル！？」
『ううん、無事で良かった！それとゴメン、あたしこの子をポケモンセンターに連れて行くからまたね！』
申し訳ないけれど今はトゲトゲくんとゆっくり話をしている時間はない。向かう先はポケモンセンター。
傷が痛まない程度に抱きしめ走り出すと、リオルくんがあたしの服を小さく握り締めた様な気がした。
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