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プラズマ団と名乗る男の人と正に対峙しようとした瞬間、突如草むらからでんこうせっかが繰り出された。
それは真正面から炸裂し、その勢いでミネズミの体をいとも容易く吹き飛ばす。
「な、何だ!?」
『雷士…じゃないよね?何か飛び出してきた様な…』
〈うん、アイツがやったんだよ〉
アイツ、と言った雷士の視線の先にいたのは、
〈…ハーデリアの怒声が聞こえたから見に来てみれば…何をしに来た人間。ここの平和を脅かす者は誰であろうと容赦しない!〉
キッと目を吊り上げ相手を睨み付けるリオルだった。
「コイツ一体どこから…!」
〈リオル!来てくれたのか!〉
『え、ハーデリアくんの知り合い?』
〈!お前俺の言葉が…?〉
『うん!でもその話はひとまず置いておいて、あのリオルくんもオーナーさんのポケモンなの?』
〈いや…アイツはこの牧場に住んでいる野生だよ。ここらじゃ一番ってくらい強くて頼りになる奴なんだ〉
なるほど、確かにあのリオルくん見た目からして強そうだよね。最初のでんこうせっかも凄い威力だったし…。
「おーい!今の音なんだ?見つけたのかー!?」
『あ、あのトゲトゲくんだ。うん!見つけたよー!』
「分かった!じゃあ俺はオーナーを呼んでくるからお前は傍にいてやってくれー!」
トゲトゲくんが走り去っていく音が聞こえる。もうじきオーナーさん夫婦が来てくれるだろう。
でもその前に目の前のプラズマ団を何とかしなければいけない。けれどリオルくんは闘う気満々で何だか手を出せる雰囲気じゃなかった。
〈それで良いよヒナタちゃん。下手に加勢すると怪我しかねないし、とりあえず僕達は下がって見守ろう〉
『雷士…うん、分かった。きっと大丈夫だよね…あのリオルくんなら』
「ちっ…ガキ共が余計なことしやがって!まずは邪魔をしたそのリオルから片付けてやる!」
段々冷静さを欠いてきたプラズマ団は体力を大幅に削がれたミネズミに指示を出す。するとフラつきながらもしっかりと立ち上がった。
「かみつくだ!」
〈遅い!〉
けれど今のミネズミはあのリオルくんの敵じゃない。難なく攻撃をかわされてしまった。リオルくんはそのまま2度目のでんこうせっかを繰り出す。
〈ミネズミは終わったね〉
雷士の呟き通りだ。…そう思ったのに、
「…ふっ」
プラズマ団が、ほんの一瞬嫌な笑みを浮かべた。
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