昨日の昼間とはうって変わって、今日は快晴。朝食をとりながら見ていた天気予報で、昨日の天気を「春荒れ」と言っていた。確かに、通学路にもグラウンドにも、でけえ水溜まりができている。こりゃ、今日の体育は無しかもな。

…そんな事を考えながら、俺は教室へと向かう。廊下は、教室を行き来したり挨拶を交わしたりする生徒達で混み合ってて、真っ直ぐ歩くのは無理そうだ。

本鈴が鳴る5分前、そいつ等を避けながら教室に着いた俺は、思わず目を疑った…


シズちゃんの
腹が立つ理由T



「あ、おはよう静雄」

既に教室にいた岸谷新羅が声を掛けてきたが、そんな言葉もまともに耳に入らない位の動揺と怒りが、底からこみ上げてきた。

何でだよ……何で俺の………

「机と椅子がねえんだよっ!!!!!」

「あ、ホントだ!何でだろ…」

と、声を荒げる俺の事なんてお構いなしに新羅は、いつものような興味だけが詰まった声で話しかけてくる。その声に少しばかり憤りを持って行かれた俺は、残りの分を自身で抑えつつ、口を開く。

「……誰が…」

「え?」

「誰が隠したんだっ…!!!」

「隠す」何て決めつけるのは、何の確証も無いのにして良い事なのだろうか?……何て思わねえ。有るから言ってんだ。…しかも、誰がやったのかも、何となく想像がつく。アイツだ……俺をイライラさせる………

「なあ、アイツは……」

「アイツ?アイツって……」

「アイツだよ……ノミ蟲野郎はどこだ…!!!」

「ああ、臨也の事?たぶんどこかに居るんじゃない?授業は出てないみたいだけど、学校には来てるらしいから」

キーン、コーン、カーン、コーン―――……バーンッ

ドアを勢いよく開け、俺は教室をとび出した。本鈴なんて聞かねえ。

「ちょ、静雄!?」

「おい平和島!何処へ行く!?」

新羅の声も、担任の声も。

―――――

俺は宛もなく廊下を走る。アイツを探す為に……。今は、机と椅子の為なんかじゃねえ……見つけて昨日の借りを返す為に……!!!

階段を下り、昇降口を出る。グラウンドを見渡し、アイツが居ないことを確認してから、俺は校舎裏へと向かった。

…すると、誰もいない筈の場所で、何処からかも、誰のものかも分からねえ視線が、此方に向けられているのを感じた……


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