刀剣乱舞 | ナノ
01


審神者として適性があると告げられた日から、なかなかに忙しい日々を過ごした。まずは書類。なんでも、自分の名──真名──は刀剣男士に名乗ってはいけないらしく、審神者としての名をつくらなければいけなかった。これは後で変更が効かないと言われていたので、かなり時間をかけて悩んだ。子どもが生まれたらどんな名前がいいかな、なんて妄想したこともあったが、まさか自分を名付けるだなんて思ってもみなかったから名前の候補が出て消えて出て消えてと、これだけで時間をとられたものだ。それが終わると今度は引越し準備。審神者に就くと、自分の本丸(平屋の一軒建てと聞いている)に住むことになるらしい。夢のマイホーム!と思わないこともないが、自分で刀剣男士を顕現させなければいけない、つまり男士(男子)とシェアハウス…。いや本当に何が必要なのか分からない。その他、友人たちにしばらく連絡がとれないことを伝えたり、審神者になるための心構えをしたり、なんとなく親孝行をしてみたり、それはそれは忙しかった。ここまで思い返してみると、もっとなんか違うことやれただろ!と過去の自分に憤りを覚えたので過去は振り返らないことにする。

さて、今日から私の審神者人生がスタートする。適性があると告げられた日とほとんど同じような説明──時間遡行軍とやらが過去を荒らしているので、審神者が刀剣に力を注ぎ込み、刀剣男士を顕現させて時間遡行軍と戦っていくといったようなこと──を受け、まずは初めての刀剣男士を選ぶこととなった。政府からの使いだという目の前の狐、こんのすけが五つの刀をモニターに映し出す。そこには刀の写真と、刀剣男士の風貌と性格が書かれていた。この五つの刀、それぞれ性格が異なっており、これから共に暮らすにあたって居心地の良さそうな刀剣男士を選ぶことが出来るということらしい。


「加州清光にします。」

「かしこまりました。」


私の初期刀は、加州清光だ。

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