「二学期始まった途端に中間テストとか、やだ〜」

「海原祭っていう楽しみが待ってるよ、頑張ろう」


気がつけば、入学から四ヶ月もの月日が流れていた。立海大附属中、いわゆるここ立海にはたくさんの行事があり、また日々の生活も充実しているためか、日が経つのがとても早く感じる。また、中間テストと期末テストは奇数月にやるため、学年末テストだけは二月にやるらしいが、二学期が始まって早々のテストである。簡単に言うとあれだ、夏休み明けの課題テストという感じらしいので、宿題をきちんとやった人が報われるわけだ。


「そうだ、テスト前の週の放課後、一緒に勉強しない?ほら、テスト前一週間って部活停止期間じゃん」


そう提案したのは立海大入学後にできた友人のひとり、佐々木菜津である。誰とでも仲良くできる子で、裏表がない性格なので、好印象を抱いている人物だ。ちなみに学力の方はというとあまり芳しくはない。特に理数系が壊滅的だと、一学期を共に過ごして痛いほど理解している。私にとっても理数は苦手としているところではあるが、少なくとも彼女よりは出来がいいはずだ。…たぶん。


「まあ、いいけど」

「やったー!あ、あと、サッカー部に山本っているじゃん、あいつも来る予定なの。あ、たぶん、友達連れてくると思う!」


承諾した途端マシンガントークしてきやがった。私がいいよっていう前から計画立ててただろ。あと山本って誰やねん。いるじゃん、って言われても、私、たぶんその人と話したことないわ。だって男子で話したことあるの委員長くらいだし。そもそもこのクラスに山本くんいないし。
思い当たる人物といえば、時々菜津が廊下で喋っている彼であろうか。ちらりと見た感じでは爽やかで長身であったことくらいしか分からない。彼女の言葉から、彼をサッカー部に当てはめてみた。なるほど、似合う。どうでもいいことだが、私が山本くんを認識していなかったら、というか記憶中の彼と山本くんが合っているのかも分からないのだが、話はまるで通じない訳である。立海大は人数が多いので(なんていったって、三学年で三千人弱である)、自分のクラスの人と体育で合同になるD組の一部(女子のみ)しか顔と名前が一致していない。あとは、部活の人もようやっと覚えられてきたところだ。私とまったく関わりのない、彼からも私とはなんの関係性もないわけだが、そんな人と勉強会など人見知りの私が出来るのだろうかと、一抹の不安を覚えた。


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