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「兄上様、どうしたのですか?そんな所で立ちっぱなしで」

台所から奏の妹である叶がやって来た。
彼女は大量の洗濯物を抱えている。

「……」

だが奏は叶の言葉が聞こえなかったのか、返事をしない。
奏に返事をされないのは彼女にとって毎度の事で慣れている。叶は気にせず奏の傍に座り、山積みになっている洗濯物を畳み始めた。

「…ポケモンが、」

「え?」

珍しく言葉を返した彼の小さな呟きに、叶は彼を見た。
奏がこれから言おうとしている告白に、叶自身にも緊張が走る。

そして奏は、また小さく呟いた。




「アニメ、…終わるんだってよ」





「……。







何だ、そんな事ですか」←本音

「はぁ!!??ちょ…はあぁぁあ!!!??」

励ましもせずに洗濯物の畳みを再開する叶に、奏はカチンと来たらしい。

「な、おまっ…はぁ!?良いのかよ!アニメ終わんだぞ!?」

もはや、いつもの冷静で冷血な奏の姿はどこにもない。

「でも私、ポケモンはゲーム派ですし」

逆に叶が奏の代わりに冷静冷血人間になっているのは気のせいだと言いたい。

「確かにお前はゲーム派だけどよおおお!!」

「ゲームは最新の方が出るので…」

奏はガックリとその場に座り込んだ。

「あ、兄上様、御安心してください。兄上様のゲームも予約しています。ブラックの方で良かったですよね?」

叶の言葉にピクッと反応する奏。さりげなく嬉しいらしい。

「……でも、さ…」

それでもアニメが終わっちゃうんだよ。
そう言おうとした瞬間だった。

「兄上様、」

叶は兄の名前を呼ぶと、静かに洗濯物の作業を止めた。

「始まりには必ず、終わりがつきものです」

「……」

「けれど、終わりの後には必ずまた新しい"始まり"が存在します」

「……」

「人生とは、それの繰り返し何です」

ですから。と言いながら、叶は奏の肩に片手を置いた。

「また新しくアニメは始まるのではないですか?」

ニッコリと微笑む妹を横目で見て、どこかで安心したのか、兄はいつもの調子に戻った。

「てめー、その予想外したらポケモンパン一年分奢れ」

「上等です。受けて立ちm…」

♪〜♪〜♪〜♪〜♪



叶が言い切ろうとした時、不意に鳴り始めた電話の着信音で言葉が遮られてしまった。
この着信音は家の電話だ。

叶は立ち上がり、電話のもとまで行くと受話器を手にして、耳にあてた。

「もしもし、藤です」

[あっ!叶ちゃん!?]

「(この声は莎詩乃さんだ。)」

一発で莎詩乃だと分かったものの、莎詩乃本人は受話器の向こう側で何故か慌てている様子だった。

[どうしよう…どうしよう…]

「莎詩乃さん、落ち着いて下さい。どうしたんですか?」

[あ、…あの…あのね…!]

「?はい」











[ポケモンのアニメが終わっちゃうのおおおおおお!!!!!!]







「……あ、ハイ…。」←苦笑




ついさっきまで奏とその話をして解決したと思ったらまた一難。
叶は苦笑いしかできなかった。






その日、叶は一晩中莎詩乃の長電話に付き合ったと言う…。













物語は輪廻のように。
(それでねっ叶ちゃん、あたし…っぶわああああ!!)←大号泣
叶(大丈夫ですよ莎詩乃さん!兄上様も莎詩乃さんを励まして!)
奏(さて、来週のアニメ予約しねぇと…)←逃走
叶(Σ兄上様あああああ!!!)











―後記―
兄妹愛(多分)メインで描いてみました!
藤兄妹ってこんなキャラが軽く壊れました←
本当はもっとシリアスな兄妹なのに…!

因みに今回の話は3-Z設定です←
分かりにくくてすいません…orz
3Zじゃないと兄妹一緒に暮らせいんです!
本編だと妖刀になって、二人バラバラ何で

そしてチラッとですが、ヒロイン出せて良かった…!!

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