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『一さん、雪ですよ!雪!』


宙空は真っ白な雪景色の中心ではしゃいでいた。
その表情は本当に幸せそうで。
斎藤はそんな宙空に僅かながらに笑みを見せる。

『綺麗な雪ですね』

あの日のように、今日の雪は綺麗だ。

ゆっくりと足を運び、斎藤は宙空の横に立った。

「…あの時も、こんな雪だったな」

斎藤の言葉を聞いて、ふと宙空は思い出す。そして顔を赤らめ、『そうですね』と呟いた。

『まるで、夢を見ているようでした』

見えるのは遠い記憶の向こう側に居る過去の自分達。

『一さん、あの時いってくれましたよね。「最初に落ちてくる一粒を、お前と一緒に見たかった」って』

「あぁ。」

『あれは、今でも私にとって最高の贈り物です』

斎藤は横目でチラリと宙空を見ると、その場にしゃがみ込み、雪を掬い上げると何やら作り始めた。

『一さん…?』

「俺は、」

雪を手の平の中で丸めながら話を続ける。

「お前が居てくれたから、ここに存在して居る」

『…』

「羅刹と化しても、どんな時でも傍にいてくれたのは他でもない。あんただけだった」

宙空の脳裏に甦るは、さっきまで思い出していた記憶とは正反対の、血に噎せた記憶。
一人、また一人、と大切な仲間達を失い、もはや自分達の目の前に見えるのは絶望のみだった頃だ。

「…だから今度は、俺がお前の傍に居る番だ」

そう言うと、斎藤は自分がさっきまで丸めて作っていて雪を宙空に雪を差し出した。宙空はそれを落とさないよう、静かに受け取る。

斎藤から受け渡された雪はひんやりと冷たかった。
渡された雪を崩さないよう、の正体を恐る恐る見る。

『あ…』

宙空の手の平に渡されたのは、雪うさぎ。
それを見た途端に、宙空は胸の奥が熱くなるのを感じた。

「宙空」

『はい、』

たまらない嬉しさの中、斎藤の呼びかけに裏返るような声で返事をする。

「最初に落ちてくる一粒を、またお前と見る事が出来てよかった」

宙空のじんわりと目が熱くなり、視界が滲む。
彼女の頬を伝うのは、あたたかい涙だった。














世界で一番美しき雪を。
(私も貴方と見ることが出来て、良かったです)







―後記―
初の薄桜鬼話でした。
斎藤さんで、結婚後の話です。
斎藤さんキャラが掴めない…
何故か珠洲亜は、薄桜鬼のゲームを一つも持っていないのに、ゲームのルート内容が分かると言う、よく解らない人間です←
そういえば去年、友人のお誘いで吉岡亜衣加チャンのライブに行きました!
亜衣加チャンの歌では"つぼみ"が一番好きです。
くそ…!目から変若水が…←

  


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