「何で俺がお前らに勉強教えなきゃならねぇんだよ」

「晋助君、俺も手伝うよ」

「俺も出来る限りの事はする」

『「皆様おおお願いしますぅぅ…」』


現在、午後8:00
五人が居る場所は五人の寝室。
ここの寺子屋は、集中して勉強時間が多くとれるように、寮がある。そんな事もあり、五人は寺子屋に入った当初から寺子屋の寮に住んでいるのだ。

「面倒臭ェから俺は一回しか説明しねぇかんな」

『「はい」』

「…じゃ、始めるぞ」

「あ!待って!」

灑夜は傍にあったカゴから何かを取り出そうとしている。

「皆の集中を切らさないために、お菓子持って来たんだ!」

『さすが灑夜!!!』

莎詩乃は目をキラキラ輝かせる。灑夜はその期待に応えるように、バッとお菓子を出した。
そのお菓子を見て、灑夜以外の全員は口を閉じてしまった。

「美味しいんだよコレ!」

「…灑夜、それ」

「鰹節だよ!!俺、お腹空く時とか結構おやつとしてたべてるんだ!」

桂の質問に灑夜は笑顔で答えた。

(そうだコイツ、大の鰹好きだ…。)

四人の心が一つになる瞬間だった。




…とまぁ、そんな事もあり、勉強会が始まった。

高杉はこの寺子屋で、常に1位の座に君臨している。
なので莎詩乃と銀時は高杉に勉強を学べば、絶対的に追試で不合格になる事はないと考えたのだろう。
"勉強会"
その言葉が唯一、二人の救いだったと言えよう。

…という訳で、今の状況に至るのであった。


「…ここがyで、…馬鹿。そっちはnだっつの」

『「はい!」』

流石高杉、と言う所だろうか。教え方が分かりやすかい。灑夜と桂も、思わず学んでしまう部分が出て来る位だった。


…だが、何時間もずっと勉強勉強では疲れが見えてくる訳であり…



現在、午後11:03

バァチィィイン

「いってぇえええええ!!!!!」

銀時は額を抑えながら、後ろに倒れ込んだ。

「いってぇ…何すんだよ高杉!!」

「寝てたテメェが悪い」

居眠りを始めた銀時に、高杉はデコピンをくらわしたのだ。

「うん、今のは銀時が悪いな」

「ヅラも高杉の味方かよ!」

「ヅラじゃない、桂だ」

どうやら桂は、この頃からこの台詞が口癖になっているらしい。

「だってさお二方。もう11時だぜ?何時間勉強してるって話だよ。休憩入れようぜ」

そう言いながら、銀時はむくりと体を起こした。

『あ、そう言えば休憩入れてないね』

「な?莎詩乃も思うだろ?だから高杉、一回休憩しようって」

高杉は表情一つ変えない。そして、ややあってから口を開いた。

「…そのまま寝オチして明後日のテスト不合格になっても、俺知らねぇかんな」
それはつまり、休憩しても良いと言う、高杉なりの返事だった。


「いやっほおおおい!!!サンキュー高杉!晋ちゃん愛してる!」

休憩が余程嬉しかったのだろう。銀時は高杉に抱き着いた。

「晋ちゃんじゃねぇよ!やめろっ!抱き着くな!!」

抱き着く銀時を完全に拒否する高杉の目は、マジの領域に入っていた。
そんな二人をそっちのけで、残りの三人はワイワイ仲良く会話をしたり鰹節を食べていたり…

ふと、莎詩乃がゲーム機を取り出し、電源をつけた。
やるゲームはもちろん、ポケモンだ。

「またポケモン?」

銀時から上手い事逃げた高杉が、横からゲーム機を覗き込む。

『うん!近々新しいポケモンゲームが出るから、今のうちに終わらせようと思って』

「お前本当にポケモン好きだな」

『めっちゃ好きです!!』

そう言うと、莎詩乃は高杉の顔をまじまじと見つめ始めた。

「……何?」

『晋助って、エーフィに似てるね!!』

「似てねェよ」←即答




その30分後、あたし達は勉強を再開せず、晋助の予想通りそのまま寝オチしました。勉強会の間にある休憩時間って良いですね!
あ、追試は二人揃って合格しましたよ!
後で晋助にお礼しなきゃなぁ…










返却されたテストの回答用紙の点数部分を折りたくなる件!
(晋助にテストのお礼したいんだけど何が良いかな…)
灑(鰹で良いんじゃない?)
(いやぁ…鰹は…)







―後記―
珠洲亜の学校は只今絶賛テスト一週間前で、部活で勉強会をしてたらこの話が頭に入って来ました(笑)
「晋助ってエーフィに似てるね」と言う台詞は、リア友が、中学時代に言っていた台詞です))

因みに今日も部活の勉強会でひっそり居眠りしてたり…ふはははh(殴
数学は本当にもう…あっはははは←