二 「きゃああああああああ!!!!!!」 テストを返却され、皆で見せ合いっこなどをして、ほぼ休み時間状態と化している寺子屋の勉強部屋に響き渡る悲鳴。 声の主は、銀時。 「いやぁ!いやああああ!いやっいやああa『うっさい銀時!!』 莎詩乃が一発喝を入れた所で、銀時の悲鳴がピタリと止んだ。 「だって!だってだって莎詩乃!俺点数いくつだと思ってんだよ!」 『んー…16点?』 「何で当たってんだよ!!」 『……。(ゴメン銀時。思いっきり地雷踏んじゃった…)』 点数を当てられたのが相当嫌だったのか、銀時は軽く涙目になっている。 それに気付いた莎詩乃は、あわてながらも銀時を励まし始めた。 『大丈夫だよ銀時っ!ま、また次があるさ!元気出して!』 銀時はボソボソと話し出した。 「…次のテストは…絶対、追試に決まってる…」 ネガティブ思考になっている銀時は、莎詩乃に人差し指を突き出した。 「…莎詩乃は何点だったんだよ」 その言葉を聞いて、瞬時に莎詩乃は眉間にシワを寄せた。 『…ん?あたし?』 無意識で銀時につられたのか、莎詩乃も自分の事を指さす。 「そう、お前」 『あたしは…、別に…その…』 莎詩乃はガサガサと、自分の回答用紙を自分の後ろに隠した。 「俺の点数知ってんだから、莎詩乃も点数知る権利位俺にあるだろ」 回答用紙を隠したのを見てムスッとする銀時。莎詩乃はそんな銀時に必死で何とか答えようと、かなり挙動不審だ。 『え…いや…えっと』 「な…!!莎詩乃何だこの点数は…!」 「29点とか…」 「29って…何があったの莎詩乃!!」 『何見てんだよおおおおおおお!!!』 後ろに隠してあったテストの回答用紙が、いつの間にか桂、高杉、灑夜の手に渡っていた。 『しょうがないじゃん。苦手な教科のテストだったんだもん』 「29点何だ、莎詩乃。お前も俺と仲間だな!」 銀時はさっきまでの表情と180度変わって、笑顔に変わっていた。そしてガシッと、莎詩乃の肩を組む。 「同盟組もうぜ、莎詩乃!」 『ちょ!さっきまでの表情はどうした銀時っ!!つか、同盟とか結構です!』 すると、パンパンと手を叩く音がした。松陽先生が手叩きをしたのだ。 生徒達は皆、松陽先生の方を見る。 「皆さん、テストの結果はどうでしたか?点数が30点未満の人は、明後日に追試を行います。頑張って勉強してきて下さいね」 それでは今日の授業はここまで。そう言うと松陽先生は勉強部屋を出て行った。 それを全員は見届けると、 「『嘘だあああああああ!!!!』」 銀時と莎詩乃は叫んだ。 「うるせェ(ボソッ)」 「まぁまぁ…晋助君…(汗)」 二人の絶叫は、この部屋によく響いた。 |