―とある田舎の、とある寺子屋
その寺子屋の中にあるとある勉強部屋


そこからは、子供達の元気な声でありふれていた。




カサッ…
…コトン…

『?』

それは、思想家である吉田松陽が一日不在のため、彼の生徒達は皆自習をしている時の出来事だった。




突然自分の目の前に飛んで来た半紙の紙飛行機に坂城 莎詩乃は思わず顔をきょとんとしてしまった。

莎詩乃何となくそれを手にし、紙飛行機を広げる。
するとそこには、筆で書かれた文字があった。

[お前ら明日、何の日か知ってるか? by俺

"俺"じゃ他の奴らが解らんぞ銀時。松陽先生の誕生日だろう? 桂

そうだね!松陽おじちゃんの誕生日だよ! 灑夜より]


と書かれてあった。
いつも寝てばっかの銀時が率先して松陽先生の誕生日の話を持ち出してきたのだ。
莎詩乃は珍しい事もあるものだ。と思いつつ、返事を書いた。

[松陽先生おめでと〜!
つか、銀時いきなりどうしたのよ(笑) from莎詩乃]

自分が書いた言葉に誤字、脱字がないか確認すると半紙を元の紙飛行機の形に直し、隣で頬杖をついて自習をする高杉に紙飛行機を渡した。
何かを察知したのか、高杉は驚きもせずに紙飛行機を開いた。
そして小さく舌打ちをすると、筆を手にして返事を書き始めた。
それから莎詩乃と同様、紙飛行機を折り直し、狙いを定めて、コクリ…コクリ…と船漕ぎをし始めている銀髪天パの頭上目掛けて紙飛行機を飛ばした。

サクッ

見事に銀時の天パに紙飛行機は刺さったが、紙飛行機の衝撃+船漕ぎのタイミングが不覚にもマッチし、一気に銀時は机へと顔面を強打した。

その現場を見てしまった莎詩乃と灑夜は必死で笑いを堪える。
因みに高杉は鼻で笑っていた。


銀時は天パから紙飛行機を出し、ヤケクソのようにガリガリと返事を書いて、紙飛行機を桂の方に飛ばした。
冷静に紙飛行機を取った桂。溜め息混じりで返事を書く。
紙飛行機は灑夜の所へ。
灑夜は紙を広げると、早速返事を書いた。
その表情はどこか楽しそうだ。


そして終にお待ちかね、自分の番が来た。
莎詩乃は丁寧に紙飛行機を開ける。


[銀時、何か企んでんの?つか寝るな馬鹿。 晋助

痛ぇよアホ!!銀さんの素敵な素敵なお顔をどうしてくれんの!!
…まぁ明日、誕生日のサプライズしてぇなって思っただけ。 by俺

銀時にしてはまともな話だな。賛成しよう。松陽先生には日頃お世話になってるしな。 桂

サプライズ良いね!おじちゃん、絶対喜ぶよ!!
じゃあさ、今日の授業終わったら皆でここに残って準備しようよ! 灑夜より]


賛成か、反対か。
"サプライズ"その一言に対し、莎詩乃の答えは直ぐに決まった。


[皆に賛成!じゃあ、あたしは授業が終わったら、お菓子と飾り付けの材料調達行ってくるね!]

不思議と笑みが零れる内容の半紙を再度折り直し、紙飛行機はいよいよ高杉のもとに。

紙飛行機を開いた高杉の表情をさりげなく見ると、彼は珍しい事に口元を軽く緩ませていた。
どうやら高杉も賛成してくれたらしい。
高杉は返事を書くと器用に紙飛行機を折り、いざ銀時に飛ばそうとした
その時





…肝心の銀時は居眠りタイムに走っていた。

それに痺れを切らしたのか、高杉は紙飛行機をクシャクシャに丸めては半紙を20枚程出し、それを全部、数秒前まで紙飛行機だった球状の半紙の上に被せては丸め、被せては丸め…
巨大な玉を作り銀時の後頭部目掛けて投げたのだった。





その後の事は言うまでもない…。






俺らにとって大切な日!
(後日、松陽先生は笑顔であたし達に「ありがとうございます」と言ってくれた。)






―後記―
手紙交換の話でした!
手紙交換って、紙飛行機って良いですよね!
青春な感じがして(遠い目←
初回から誕生日ネタww
そして銀さんがいじられキャラすぎますね(汗
銀さん好きの方々、すいません!!orz
書いてて楽しかったです))
まだ暫くは幼少期篇が続くと思います;

次回も宜しくお願いします!