その日の天気は曇天だった。












『楽しかったね!カン蹴り!』

「莎詩乃、隠れんの上手ェんだもん。鬼のこっちは楽しくねぇわ」

「走るのが遅い銀時も銀時だけどな」

「だーっだーっ!!知らねぇ!俺は何も聞いてねぇぇ!!」

銀時と高杉、そして莎詩乃は、クラスメイトの友人と空き地でカン蹴りをしていた。
気付けば午後5時40分過ぎ。空は夕日が沈み、つい先程から薄暗くなり始めた。
急いで寺子屋に帰らなければ、松陽が心配してしまう。
三人は肩を並べ、早歩き程度の速さで寺子屋に向かっていた。

「そういや灑夜、大丈夫何かな。体の具合」

「微熱だって桂が言ってたぜ。松陽先生が看てっから、そろそろ熱下がってくるんじゃねぇか?」

『勉強の合間、灑夜の看病の手伝いする何て、桂は凄いなぁ…』

本当は松陽に、風邪がうつってはいけないから外で遊んでてくれ。と言われていたのだが、桂は松陽の手伝いをしたいと言い、灑夜の看病の手伝いをしている。
だから今日、桂はカン蹴りに参加していなかった。

「…灑夜はもともと、体が弱ぇからさ、心配な面はあるよな」
高杉の何気ない呟きに、莎詩乃は静かに頷き、少し経ってから、『うん』と言った。
沈黙が続く。
どれだけカン蹴りに夢中になったとしても、やはり灑夜が心配なのだろう。


「だったらよ、」


その重い沈黙を破ったのは、銀時だった。

「商店街のスーパー行って、三人で金出し合ってさ、灑夜の大好きな鰹節買ってかねぇ?」

『おぉ!銀時それ良いね!それなら灑夜、一発回復だね!光合成して回復する感じだね!!草タイプ!!』

「は…?こーごーせー?」

「莎詩乃、世界が違う所に行こうとしてっから
つか、それ以前に銀時にそのネタ言っても無駄だ」

『何だよ銀時、光合成知らねぇのかよ』

「何その冷たい態度!!止めて!そんな覚めた目で俺を見ないでえええぇ」








…とまぁ、そんな会話も事の流れのうちにあり、三人は商店街のスーパーへと向かった。