二 その日の天気は曇天だった。 『楽しかったね!カン蹴り!』 「莎詩乃、隠れんの上手ェんだもん。鬼のこっちは楽しくねぇわ」 「走るのが遅い銀時も銀時だけどな」 「だーっだーっ!!知らねぇ!俺は何も聞いてねぇぇ!!」 銀時と高杉、そして莎詩乃は、クラスメイトの友人と空き地でカン蹴りをしていた。 気付けば午後5時40分過ぎ。空は夕日が沈み、つい先程から薄暗くなり始めた。 急いで寺子屋に帰らなければ、松陽が心配してしまう。 三人は肩を並べ、早歩き程度の速さで寺子屋に向かっていた。 「そういや灑夜、大丈夫何かな。体の具合」 「微熱だって桂が言ってたぜ。松陽先生が看てっから、そろそろ熱下がってくるんじゃねぇか?」 『勉強の合間、灑夜の看病の手伝いする何て、桂は凄いなぁ…』 本当は松陽に、風邪がうつってはいけないから外で遊んでてくれ。と言われていたのだが、桂は松陽の手伝いをしたいと言い、灑夜の看病の手伝いをしている。 だから今日、桂はカン蹴りに参加していなかった。 「…灑夜はもともと、体が弱ぇからさ、心配な面はあるよな」 高杉の何気ない呟きに、莎詩乃は静かに頷き、少し経ってから、『うん』と言った。 沈黙が続く。 どれだけカン蹴りに夢中になったとしても、やはり灑夜が心配なのだろう。 「だったらよ、」 その重い沈黙を破ったのは、銀時だった。 「商店街のスーパー行って、三人で金出し合ってさ、灑夜の大好きな鰹節買ってかねぇ?」 『おぉ!銀時それ良いね!それなら灑夜、一発回復だね!光合成して回復する感じだね!!草タイプ!!』 「は…?こーごーせー?」 「莎詩乃、世界が違う所に行こうとしてっから つか、それ以前に銀時にそのネタ言っても無駄だ」 『何だよ銀時、光合成知らねぇのかよ』 「何その冷たい態度!!止めて!そんな覚めた目で俺を見ないでえええぇ」 …とまぁ、そんな会話も事の流れのうちにあり、三人は商店街のスーパーへと向かった。 |