三 「四つ葉のクローバーの大体は三つ葉の群れの下に隠れている。日にあまり当たらないらしい」 『へぇー…!』 「物知り…!!うん、確かに四つ葉のクローバーがありそうな匂いがする…」 「するものなのか?」 物知り桂の情報により、二人はクローバーの群れの下を探す事にした。 だが、今は梅雨の時期。土は昨日の雨により泥になっている部分が殆どだ。三人の手はあっと言う間に泥だらけになってしまった。 「しかし、あの高杉がところてんになるのは俺も御免だな」 『いや、ところてんになるんじゃなくて、ところてんを食べる気しかなくなっちゃうんだって』 「晋助君がところてんに!?」 『灑夜、桂の言葉に惑わされちゃいけないよ!!?』 「…というか、そもそも高杉はところてんを食べている所をお前等は見た事あるのか?」 桂の一言に二人の手が止まった。 「え…」 『…食べてたっけ?』 「高杉は食わず嫌いが激しいからな。ところてんが嫌いだったら、大丈夫だと思うが」 桂の言う通り、高杉は食わず嫌いが多い。 もし、高杉がところてん嫌いだったら、この四つ葉のクローバー探しは意味が無いのかもしれないのだ。 「…どうなのコレ…」 『待って!今頭の中で過去を巡ってるから!』 「高杉がところてん食ってる所見たぜ?」 桂の時と同様、一同は声の主へと顔を上げた。 土手の上にいたのは銀時だった。 「え、お前ら四つ葉のクローバー探してんの?」 鼻をほじりながら、銀時は三人を見下ろす。 『何で知ってるの?』 「そこにあったジャ〇プ読んだから」 銀時はジャ〇プを指差した。 「銀君、さっき言ってたけど…晋助君がところてん食べてる所、本当に見たの?」 灑夜の問い掛けに、銀時はしっかりと頷いた。 「見た。今日の昼飯に高杉がところてん食ってる所を、バリバリこの目で見た」 三人の顔は真っ青になった。 "占いが現実になってきとしまった。" そう思ってしまったのだろう。三人は焦りだした。 『はわわ…どうしよ』 「とにかく、早く四つ葉のクローバーを探さないといけないだろう」 「だね!」 三人は再度、四つ葉探しを始めた。 「…しゃーねーなぁ」 小さく呟き、深く溜め息をつくと、銀時はどこかに言ってしまった。 それから何時間が経ったろうか。 あれだけ自分達の真上に居た太陽は、今やオレンジ色になり、沈もうとしている。 莎詩乃達は未だに四つ葉のクローバーを見つけられずに居た。 額には汗が滲む。手についていた泥は今では手首にまで及ぶ。 『(どうしよう…このままじゃ…)』 莎詩乃の目にうっすら涙が滲んだ時だった。 カサ、カサ、と聞き慣れた二つの足音が聞こえてきた。 やがてその足音は、自分達の居る場所に近付いた途端に止んだ。 不思議に思った莎詩乃は、さりげなく横目で、誰が来たのか見た。 『!!晋助!』 「莎詩乃、俺も居るから。銀さんも忘れないでね」 高杉と銀時が居た。しかも二人共、どうやら四つ葉のクローバーを探しているらしい。 『何やってんの晋助、』 「どっかの馬鹿三人衆が占い信じて四つ葉探してるって銀時から聞いたから」 「馬鹿じゃない桂だ」 「晋助君だ…良かった。まだところてんじゃない…(泣)」 「え!?皆やっぱり銀さんオールスルー!?」 高杉は手を止めず、話を続ける。 「別に俺のためにこんな事しなくていいのにさ。何やってんだよ」 『…ゴメン』 「でもまぁ、こんな無駄な事でも精一杯頑張るのは良いんじゃねぇの?」 「でも、」と高杉が言ったのと同時に、彼がブチッと何かを千切る音が聞こえた。 「あんま無茶すんな。 ホラ」 高杉は莎詩乃の目の前に、四つ葉のクローバーを差し出した。 今日、莎詩乃達が必死になって探した、あの"四つ葉のクローバー"だ。 『四つ葉…』 「…これでもう探さなくて良いだろ?」 高杉はゆっくりと立ち上がると、着物についた泥を落とした。 「あんま遅いと松陽先生心配するし、俺帰っから」 高杉はそのまま寺子屋へと進み出した。 高杉があっさりと見つけた四つ葉のクローバーを見ていた一同は、はっと我に帰って、高杉のもとに走り、一緒に肩を並べて寺子屋へ帰るのだった。 願いが叶うなら、貴方の幸せを。 松(今日の夜ご飯はところてんですよ) 桂・灑(ところてん!?) (これも運命だよねうん、あたしはそう信じてる(泣)) 銀(ところてんって、プルプルしてるからプリンの親戚?) 高(馬鹿かお前は) 銀(あぁ!?) ―後記― 3ページ目が予想以上に長くなってしまいました… この前あった、マーチング検定の時、結果待ちの時間が1時間半位ありまして…。 暇で暇で最終的に友人と四つ葉探しをした時に浮かんだ話です。 珠洲亜は全然見つけられなかったのに、友人は5つ位見付けてました(笑) 3P始めの物知り桂が言っていた言葉は、その友人が言っていた豆知識です。 |