二 『それでは四つ葉のクローバーを探したいと思います!!!』 「イエッサー!!!!」 今、莎詩乃は灑夜と共に草花が沢山生い茂っている土手に居る。 ここはいつも松陽や皆と一緒に散歩をするルートの一つだ。 『よし!じゃあ位置についてぇぇ、よぉぉぉい… 飛び込めっ!!』 「うぃっす!」 二人はその草花が生い茂る土手に飛び込んだ。 「早く四つ葉のクローバー見つけて、晋助君に渡さなきゃね!!」 『うん!』 そう、二人は高杉がところてんばかり食べないようにするため、しし座のラッキーアイテムだった四つ葉のクローバーを探しているのだ。 数時間前、寺子屋の寮についた莎詩乃は灑夜に相談し、二人で四つ葉のクローバーを探そうという事になったのだ。それで今に至る。 「莎詩乃、そっちに四つ葉はあった?」 『ううん。全然…』 「了解!じゃあ俺はあっちを探すね」 『わかった!』 純粋。と言うのだろうか。二人はすっかり占いを信じて、四つ葉のクローバーを探している。 だが、二人の居るここの土手は広い。流石に子供二人だけでこの広い土手での中、四つ葉のクローバーを見付けるのは大変だろう。 クローバー探し開始から早くも10分は過ぎた時、莎詩乃は下を向き続けていた首を、だるそうに上げた。 『く…首が、痛い…』 10分以上も首を下げていては首が痛くなってもおかしくはない。 「莎詩乃、大丈夫?」 『大丈夫だよ灑夜。頑張って四つ葉のクローバーを探さなくちゃ…! さもないと…晋助が…っ』 "ところてんしか食べる気がなくなってしまう。" 「いやあああああ」 二人は急いで作業を再開して、黙々と四つ葉を探す。だが、四つ葉のクローバーは一向に顔を出さない。 「…お前らどうした。そんな所で」 『「!」』 不意に自分達に問い掛けた声に反応した莎詩乃と灑夜は、ほぼ同時タイミングで視線を声の主へと顔を向ける。 土手の上にいたのは、桂だった。 『ヅラァ!!』 「鬘君!!」 「ヅラじゃない桂だ。そして鬘でもない、桂だ!! 人がどうしたと聞いているのに、それは無いだろう!!」 『ゴメンゴメン あのね、今灑夜と一緒に四つ葉のクローバーを探してるんだ!』 「四つ葉の、クローバー?」 桂は何かを考えるように、軽く眉間にシワを寄せた。 「何でそんなモノを…」 「これを見て!晋助君が大変何だよ!!」 どこから出したのか分からないが、灑夜は漫画雑誌を取り出し、占いコーナーのページを桂に見せた。 「!!ところてんだと!?」 桂の目つきが一気に変わった。 「あの高杉がところてん!?え、マジで!?」 桂は再度占いコーナーを読み直す。そして 「分かった。俺も手伝う。高杉には色々借りがあるからな」 と答えた。 「やったーー!」 『ありがとう、ヅラ!』 「ヅラじゃない桂だ。」 こうして、四つ葉のクローバー探しに新たに桂が加わった。 |