『それでは四つ葉のクローバーを探したいと思います!!!』

「イエッサー!!!!」

今、莎詩乃は灑夜と共に草花が沢山生い茂っている土手に居る。
ここはいつも松陽や皆と一緒に散歩をするルートの一つだ。

『よし!じゃあ位置についてぇぇ、よぉぉぉい…
飛び込めっ!!』

「うぃっす!」

二人はその草花が生い茂る土手に飛び込んだ。

「早く四つ葉のクローバー見つけて、晋助君に渡さなきゃね!!」

『うん!』

そう、二人は高杉がところてんばかり食べないようにするため、しし座のラッキーアイテムだった四つ葉のクローバーを探しているのだ。


数時間前、寺子屋の寮についた莎詩乃は灑夜に相談し、二人で四つ葉のクローバーを探そうという事になったのだ。それで今に至る。

「莎詩乃、そっちに四つ葉はあった?」

『ううん。全然…』

「了解!じゃあ俺はあっちを探すね」

『わかった!』

純粋。と言うのだろうか。二人はすっかり占いを信じて、四つ葉のクローバーを探している。
だが、二人の居るここの土手は広い。流石に子供二人だけでこの広い土手での中、四つ葉のクローバーを見付けるのは大変だろう。

クローバー探し開始から早くも10分は過ぎた時、莎詩乃は下を向き続けていた首を、だるそうに上げた。

『く…首が、痛い…』

10分以上も首を下げていては首が痛くなってもおかしくはない。

「莎詩乃、大丈夫?」

『大丈夫だよ灑夜。頑張って四つ葉のクローバーを探さなくちゃ…!
さもないと…晋助が…っ』

"ところてんしか食べる気がなくなってしまう。"

「いやあああああ」

二人は急いで作業を再開して、黙々と四つ葉を探す。だが、四つ葉のクローバーは一向に顔を出さない。





「…お前らどうした。そんな所で」


『「!」』

不意に自分達に問い掛けた声に反応した莎詩乃と灑夜は、ほぼ同時タイミングで視線を声の主へと顔を向ける。



土手の上にいたのは、桂だった。



『ヅラァ!!』

「鬘君!!」

「ヅラじゃない桂だ。そして鬘でもない、桂だ!!
人がどうしたと聞いているのに、それは無いだろう!!」

『ゴメンゴメン
あのね、今灑夜と一緒に四つ葉のクローバーを探してるんだ!』

「四つ葉の、クローバー?」

桂は何かを考えるように、軽く眉間にシワを寄せた。

「何でそんなモノを…」

「これを見て!晋助君が大変何だよ!!」

どこから出したのか分からないが、灑夜は漫画雑誌を取り出し、占いコーナーのページを桂に見せた。

「!!ところてんだと!?」

桂の目つきが一気に変わった。

「あの高杉がところてん!?え、マジで!?」

桂は再度占いコーナーを読み直す。そして

「分かった。俺も手伝う。高杉には色々借りがあるからな」

と答えた。

「やったーー!」

『ありがとう、ヅラ!』

「ヅラじゃない桂だ。」


こうして、四つ葉のクローバー探しに新たに桂が加わった。