1 イルミネーションで輝く街路樹。 大粒の雪。 いくら舞い降りるペースが遅くとも、この雪は暫く止まなそうだ。 軽く息を吐いただけで、息が真っ白になる。 マフラーはかかせない。 屯所からコンビニへ向けて少し歩くと、大通りに出る。 そこは江戸をこの冬一番彩るイルミネーションが綺麗な街だ。 季節はクリスマス真っ盛り。 そんなわけで、アタシの横をすれ違う人々は高確率でカップルなわけ。 こんな真夜中12時過ぎにさぁ…。 ……リア充爆発しろおお!! …ゴッホン。まぁ、その話は置いといて…、 イルミネーションに囲まれる街の中にコンビニはあった。 コンビニの中に入ると、さっきまでの冷気が嘘のようだった。 暖房の暖かさがアタシを一瞬にして包み込む。 あったかい。 早速、パックに入ってるショートケーキのセットを複数を買い物カゴに入れ、レジの前に立つ。 そして祈る思いでレジの方に目線をやった。 『あった…』 この時期のコンビニには、必ずと言っていいほどレジの横にある保温器。 その中には中華まんがあった。 中華まんを見ながら、アタシは口を開いた。 『あんまん一つお願いします』 店員は慣れた手つきでショートケーキをコンビニ袋に入れ、蒸し器からあんまんを取り出した。 あ…何か肉まんも恋しくなってきた…。いいや、追加注文しちゃえ! 『「すいません、肉まん一つお願いします」』 …え? 今、どっかで聞き覚えのある人の声が…。 恐る恐る隣のレジに顔を向ける。 「あ、」 隣には銀髪で死んだ魚のような目をしている坂田さんがアタシと同じく、肉まんを注文していた。 |