5 「瑚町…アンタ、何考えて『ああああああ!言っちゃったあああ!!(ノД`)』 アタシは体中の力が抜け、そのまま座り込んで泣き始めた。 何度も大粒の涙が頬を伝う。 拭いても拭いても涙は頬を伝い続ける。 いろんな感情が涙となって流れる。 『あー…もう…馬鹿、バカ…アタシ、本当に馬鹿だぁ…』 「何泣いてんでさァ」 総悟は座り込むアタシを前に同じように座り込んだ。 真っ正面から泣き顔見られてる…(泣) 『…本当はさ、8日の0時になった瞬間、一番始めに総悟に「お誕生日おめでとう」って言う予定で…でも、神山がその作戦やろうとしてるから、だったら今日一日中総悟と居れば最初に祝えるかなって思って…』 「は?神山?作戦?」 総悟は暫く考えて溜め息を一つつくと、自ら自分の隊服の袖でアタシの涙を拭き取り始めた。 「別に誕生日なんか、ケーキが食えりゃそれで良いし」 『でもね、』 総悟の言葉を遮り、アタシはそのまま続けた。 『総悟に七夕を好きになってほしかった…』 そこで不意にアタシの涙を拭く総悟の手が止まった。 てか何だろうこの状況…。 七夕→すき焼き→号泣 とは何ですか… そんな事を考えていると バチイィィイン 『いいってええええ!!!!』 「本当に馬鹿なんじゃねェですかィ瑚町は。あ、さっき自分で"馬鹿"って言ってたか」 総悟からとてつもなく痛すぎるデコピンをくらった。 改めて総悟の表情を伺うと、普通の表情ではいるが、むしろその表情がどこからか腹黒のオーラを引き立たせていた。 『酷い…人が泣いてるっていうのに、こんな時でも腹黒かよ…』 「それが俺だから」 『…そうですね』 いや、そんなに自信あり気に言う事じゃないだろ! でもおかげで普通に会話しているうちに、涙引いてきたかも…。 涙が引いたことに総悟も気づいたのか、やっと腹黒いオーラが消え失せた。 「てか、一番始めに誕生日祝いてェとかどこぞ彼女がやる事だよな」 その瞬間、今の総悟の言葉がアタシに重くのしかかった。 「別に俺等幼馴染みじゃん。だからと言って神山に祝われるのもキメェけど」 ものっそ毒舌吐いてるよこの子…ちょ、だれか止めてあげて。 『いやぁ…幼馴染みの意地?』 何で疑問形になるんだアタシは! 「幼馴染みなだけで、そこまで意地張るんじゃねェやい」 『すみません…』 もしもし神様。 アンタはやっぱり酷い奴だよ。 何でアタシと総悟を幼馴染みにしたんですか。 幼馴染みなだけで、こんなに近付きたくても全然遠いよ。 けど、と総悟はまた話し始めた。 その表情はどうしてか、どこか嬉しそうに見える。 「馬鹿瑚町のせいで、少しは七夕を好きになる気にはなったかもしれねェ」 『……』 総悟のお父さんとお母さん。 明日は待ちに待った彼の誕生日です。 腹黒でドSでサボってばっかりの生活をしている総悟ですが、それでもアタシは 幼馴染みの彼が大好きです。 …だから、7月8日に産ましてしまった事を後悔しないで下さい。 総悟は今日も相変わらず元気です。 『…総悟』 総悟に一つでも好きが増えると、幼馴染みのアタシもその分笑顔になれるよ。 「ん?」 『明日は、"お誕生日おめでとう"』 「一日早ェでさァ」 だから 明日は、HAPPY BIRTHDAY 貴方へ幸福を。 藺(やったね瑚町!何とか成功したね!) (…今思えばあの時のデコピンは、総悟なりの精一杯の励ましだったのかもしれない…) 藺(さすがツンデレ隊長だね…!) (そんな君も好きさ!!)←力説 蘭(何だコイツ等…) ―後記― 今月中旬は、ほぼこの話を制作して時が過ぎたような気がします…← かなり誕生日から離れての後篇でした。 何か、シチュエーションとか作戦とか全然出て来ませんでしたね…。orz 総悟の誕生秘話(…ん?これはどちらかと言えば"悲話"の方か?←)は、また別のお話で! それから、お気づきの方も居ると思いますが、タイトルの「BIRTHDAY」は前篇の「HAPPY」と繋がってます(( 隊長、お誕生日おめでとうございました!! |