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「…何でお前の言う事を聞かなきゃいけねぇんだよ」

「そう言わずにさ、お願いだって蘭!」

真選組参謀室にある、目立つようで目立たない場所に存在する一室。
厳重な鍵を何個も付けられたこの部屋は、桜神藺の実弟…樺々蘭の部屋だ。彼は鬼兵隊にも所属しているため、自分の個人情報がバレないよう、常に扉に鍵を付けている。

そのため、この部屋の合い鍵を唯一持ち、部屋を出入り出来るのが兄の藺だけだった。

「何が何でも嫌だね」

蘭は藺に振り向きもせず、パソコンで情報収集をしている。その姿はまるでハッカーだ。
電気をつけないこの部屋は窓すらなく真っ暗だ。その中に一つだけ光るパソコン画面が部屋の電気のような存在だった。

「そんなに俺が嫌い?」

「おうよ」

「酷いってそれええぇ」

蘭は即答だった。

「じゃあ瑚町のお願いとして聞いてよ!」

「…大天の?」

そこで初めて蘭は藺に振り向いた。そしてかけている眼鏡を軽く指で押し上げる。
そしてゆっくりと笑みを浮かべた。



「面白そうじゃんか」


蘭はせっかく押し上げた眼鏡を外した。
その直後、綺麗な黒髪の下に見えた深い傷は、今でも生々しくその姿を残している。










―――――

―――



「まぁ、それは大変ね。瑚町ちゃん」

「だからあんなサド野郎好きになるなって言ったアル」

今アタシはお妙姐さん家に来ていた。
志村家の茶の間にはアタシを含め、お妙姐さんと神楽が居る。

『だって、神楽…う…ううっ(泣)』

さっき言ってた神楽の言葉がとてつもなく自分のハートに痛く刺さった(^q^)

「でも神楽ちゃん、好きになっちゃったのはしょうがないわ
この際、全力で協力しましょうよ!」

「姐御が言うなら仕方ないアルね」

『本当!?ありがとうお二方ー!!』

嬉しすぎるよ!
この二人が協力に加わってくれる何て!我が軍に勝利は見えた!!←

「で、私等は何をしたら良いアルか?」

「確かにそうね、気になるわ」

そう話すと二人は不意にアタシへと目線を変える。
いきなりの事で一瞬言葉が喉に詰まったが、落ち着きを取り戻して恐る恐る言った。

『…実はですね、
7日のシチュエーションを考えてもらいたいんです』


アタシがその言葉を言い切った瞬間だった。



「ちょっと待ったあああああ!!!!」


ガラガラ!ドッシャアアン!!


いきなり茶の間の天井が崩れた。
その崩れた天井の破片に紛れ、"何か"が落下しているのが分かった。
それが何か把握出来ず、そのまま"何か"は机にバーンと落ちた。


机の上に横たわるは、さっちゃんだった。
うん。この人はいつどこで姿を出すか分からんな!

「あたたた…
あ、そうだった。瑚町、シチュエーションなら任せなさい!この幾度と銀さんとのデートで磨きあげた私g「お前はどこから出てきとんじゃああああああああ!!!!!」


ドゴッ


他人の家の机上に、土足でお構い無しに立つさっちゃんに、お妙姐さんは飛び蹴りをした。

「痛いじゃないのお妙さん!!いくら私がMだからって甘く見ないで!私は銀さんだけのメs「人ん家で変な言葉喚くんじゃねええぇ!!」


そして、お妙姐さんVSさっちゃんの大乱闘が始まった。

「あーあ、始まっちゃったアルな。これだから女は嫌アル」

アタシの隣で神楽は大好きな酢昆布を食べていた。

『あるぇー…神楽。君も女の子、だよね?』

「そんなの今はどうでもいいネ」

『Σ良いの!?』

さすが夜兎…と言ったところかな…。

「ま、姐御達の状況は暫く続くと思うアルから、こっちはこっちで先に話し合った方が有効的ネ!」

そう言って神楽は笑顔でアタシに酢昆布を差し出した。

『そうだね』

アタシはそれを笑顔で受け取った。




口に酢昆布を含んだ瞬間、中に広がった味は、酸っぱくて、それでもよく味わうとどこか甘かった。
















貴方の笑顔を見るために。
(頑張らなくては…!キリッ)








―後記―
何とか前篇終わりました。
やっと蘭と女子キャラ達が出て来ました^^
恋は戦争です!←
Σあ!!誕生日過ぎてるって思ったらダメですy((黙


終わらない夏が始まるぜ…!!←