2 『うわああああ…どうしよ藺!アタシ何も準備してないよよよよ…(ノД`)』 「うん。さっきの叫びを聞いて、準備と言うか誕生日事態を忘れてるなって一瞬で把握出来たよ」 本当にどうしよ…すっごく忘れてた。 一生の不覚ってこの事を言うんだね…。 アタシはどうしたら良いか分からず、挙動不審に手をぶんぶんと振った。 総悟の誕生日まで、もう殆ど時間はない。 今から数ヶ月前、アタシは藺に『総悟の誕生日は盛大にしたいZE☆キラッ!!』って宣言していたのだ。 それすらすっかり忘れていた。 「今から準備すれば何とか間に合う、かな」 藺は僅かに首を傾げた。 計画性のある藺が首を傾げると言う事は、かなりギリギリの状況なのだろう…。 『じ、しゃあ…パーティーとかは、難しい…かな…?』 「材料による、かな」 藺は苦笑いをした。 それを見てアタシは、ガックシと肩を落とした。 「あ、でも」 目をキラキラさせる藺の目は、良い事を思い付いたと言っている。 「サプライズが出来ない分、7月8日になった瞬間、一番始めに沖田先輩を祝えば良いんだよ!」 一番、始めに、だ…と…? 途端にアタシの中の何かが萌え…もとい、燃えだした。 『めっちゃ良い案じゃん!!!!そうだね!そうすれば良いんだ!!』 「でしょ!?後は誕生日を祝うシチュエーションを考えて、プレゼントを準備すれば良いだけさ!」 『おお…やるなぁ藺!』 ぐはははは…とアタシ達は廊下の中心でどす黒い笑みを浮かべた。 次の瞬間だった。 「副隊長も、沖田隊長の誕生日を祝うのですか!奇遇ですねー!!」 『「!!?」』 この声は。と二人は瞬時に声のした方へと振り向く。 『な…』 そこには一番隊に所属する、神山がいた。 彼の特徴である瓶底眼鏡が朝日太陽により、強烈に光っている。 …眩しい。(^言^) 「神山!…って事はまさか、アンタも…」 「桜神さんの言う通り、自分も沖田隊長の誕生日を祝うつもりです!!!」 『Σやっぱりかよおおおおおお!!!つか、声でけぇ!!!』 あーもうショックすぎる! まかさまかさの神山も祝うつもりだったなんて!! 「沖田隊長にはいつもお世話になっているので、恩返しをしなくてはと思いまして!!」 「(その割にはケータイの電話帳に、沖田先輩のメアドを"ドSバカ"で登録をしてるよな…)」 「沖田隊長をどう祝うか悩んでいたら、先程お二人が話してた会話を耳にして… なのでその案、参考にさせていただきます!!!」 神山はビシッと敬礼をすると、そのまま走ってどこかに言ってしまった。 『Σちょっと待てええええええええ!!!!!』←即答 「……瑚町、非常事態だな」 神山が去って、一番最初に言った藺の言葉がそれだった。 『…そんな』 がっかりしてる割には、神山を追い掛けずに、オッサン臭く頭をボリボリ掻いてるアタシは本当にマイペースだと思う。 『…神山より先に祝うしかないな』 手段はそれしかない。 「…じゃあ俺は、瑚町が勝つよう、しっかりサポートしなきゃね」 藺はニッコリと笑って言った。 本当に彼は良い子だと思う。 アタシは一気に疲労に満ちた機嫌を回復させようと、再び伸びをして、藺に言った。 『よし、じゃあ藺に頼みがある!総悟が好きそうな誕生日プレゼントを蘭とググって来てくれ! アタシは女子軍の皆とシチュエーションを考えてくらぁ!!』 「おk、把握した!!」 アタシ達はそれぞれ別れて作戦を組み立てる事になった。 熱い誕生日が始まる。 |