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夏ですね!!


いやぁ夏だよ!田んぼに居る蛙や木に這いつくばる蝉は日夜、大合唱をしているよ。
皆で大合唱何かして…某動画サイトにうpするんじゃないでしょーね!?



…って思うくらい、世間は真夏に染まりつつあった。





『7月だねぇ』

「本当だね瑚町〜」

7月上旬のある朝。アタシと藺は、朝ご飯を食べに行くため、ゆったーりと食堂に続く長い廊下を歩いていた。

『7月か…ねぇ、藺。今月コミケってあったっけ?』

「んー…確か無かったような…」

『ああ…そっか』

何だ、今月はコミケ無いのか。
アタシはグッと両手を上げ、溜まっていた眠気を飛ばすように伸びをした。

『コミケが無いんじゃあ、今月はなーんも無いなぁ』

お祭りも先月の話だ。
まぁ、8月に盛大なお祭りはあるんだけどね。
今月はかなり退屈な一ヶ月になるだろうなぁ。

「……でも瑚町」

藺はいきなり歩くのを止め、真剣な表情になった。
つられてアタシも足が止まる。
いつもは、あんなにおっちゃらけてる藺にしては珍しい表情だった。
いきなり真顔になるとか、えと…アタシ、何か悪い事したかな…。
恐る恐る藺に聞いてみた。

『"でも"…って?』

藺は一瞬、拍子抜けたように体の力が抜けてズッコケた。
しかもその表情は「まさか、忘れちゃったの?」とでも言うかのようだ。





「今月の8日、沖田先輩の誕生日じゃん」


















『Σああああああああああああああ!!!
そうだったあああああああああああああああ!!!!(゚Д゚;))』



何をやってるんだアタシは!!