4 ――数時間後の昼下がり。 アタシと総悟は、いつものように道端の地面に絵を描いていた時だった。 「やぁ瑚町ちゃん!」 自分達の目の前に若い雄ゴリラが立っていた。 「『…あ、ゴリラ』」 「いや、ゴリラじゃないし!!俺だよ!俺!!」 「…瑚町、コイツ誰?」 どうやら総悟は初めてこの人に会うらしい。 『ん?ゴリr、じゃなくて、近藤さん』 「瑚町ちゃん間違えたよね今、うん、俺聞いたよ。絶対聞いたよ」 『瑚胡弥が通ってる道場の人』 「へー」 「え!!俺話シカト!!?」 近藤さんとは兄が稽古に通っていると言う事もあり、お正月によく会ったりする。 『で、何の用ですか?ゴ…ウオッホン!…近藤さん』 「…瑚町ちゃん、もしかしてそれわざと?」 まあ、良いや。と言って、近藤さんはアタシ達の隣にしゃがみ込んだ。 「あのな二人共、俺ん家の道場で剣術やってみないか?」 「剣術…?」 先に反応したのは総悟だった。 「あぁ。最近は世の中物騒になって来てるからな 護身術でも趣味でも良いからさ」 今まで考えたことなかった。て言うか、女の子が剣術を習うなんて、あまり聞いた事がなかったのだ。 田舎育ちの身だから、女は家で仕事をする、その印象が強かった。 更に近藤さんは話を続ける。 「それにお前等もそろそろ勉強に励まなきゃいけない年になるだろ?勉強の面分も俺ん家の道場が見てやるって、じっちゃんが言っててな。どうだ、やってみないか?」 勉強付き…!?何コレお得…!!← アタシと総悟はどうするか考えた。そのせいで少し沈黙が続く。 暫くするとその沈黙を破る第一声が聞こえた。 「…俺はやる」 「おぉ!本当か!?」 総悟は剣術を習うと決意したらしい。 『総悟、やるの?』 「うん」 ふおおぉ…総悟が剣術とか、何か新鮮…。 近藤さんは、総悟が剣術をやると言った事が相当嬉しいらしく、大袈裟な位に喜んだ。 「いやぁ、仲間が増えて嬉しいよ!瑚町ちゃんはどうだい?」 …瑚胡弥や総悟達と一緒に剣術、か… アタシは… ――――― ――― 『……』 アタシは瞼をゆっくり開けた。 それは長いようで短い夢だった。 ―――昔の夢、見てたんだ? 脳内に、アタシに憑く奏君の声が響く。 彼はきっともう一人の自分だと言っても、可笑しくはないかも知れない。 アタシは妖刀"闇奏"を静かに握り、奏君に答えた。 『(うん。多分、アタシが剣術を始めるきっかけになった日だったと思う)』 ―――ふぅん。…てかそろそろ、山崎とか言う奴が心配してるんじゃない? 『え!!!』 アタシはガバッと起き上がり、ケータイで時間を確かめた。 『ヤバッ…30分過ぎてる…うわ、電話も5件来てるわ…』 ―――そりゃ寝てりゃあ、あっという間だわな 奏君のからかうような声が聞こえる。 彼はアタシの中に居るから、声を聞きたくなくても聞こえてしまうのだ。 『(うっさいよ奏君…! …もう行かなきゃ…)』 アタシは立ち上がり、隊長服についた花びらを払い落とし、再度あの小さな道を通るのであった。 少し昔話をしようか。 奏(今日ポケモンだ。) (大丈夫、ちゃんと録画予約したから) 奏(ラッキー) ―後記― お久しぶりでした。 そしてサイト開設して最大の4ページww 後半、色んなキャラが出て来ましたね(笑) 始めは近藤さんを出す何て予定すらしてませんでしたww でも近藤さん出てきてくれたおかげで、話がまとまりやすかったです。 シリアスなようでシリアスじゃない話でした。← |