誘拐犯 今日も空は青く、太陽はとても優しく照らしてくれるのだろうか 明日も明後日も来週も、来年も、いつまでも でもこの窓から見える景色はいつも変わらない、朝も昼も夜も来ないのだ 「帰ったで、名前 今日もええ子にしとったか?」 一見人の良さそうな顔をした少年は鞄を床に放り投げ、部屋にいた幼い少年の方へ駆け寄る 「おにぃちゃん、俺な、今日もええ子にしとったよ。…だから俺な、お外出てみた「名前?」 柔らかなクリーム色の髪の毛が光にあたりキラキラ光るのが見える でも顔はいつもの優しい顔とは違い 何かに怯えるような、いや絶望した表情になる 「なんでお兄ちゃんの言うこと聞かれへんの、名前。なぁ、お兄ちゃんは名前の為言うてるんやで…?いやや、名前居なくなんの、もう…いやや」 幼い少年をベッドの上に押し倒しただ、抱きしめて泣きながら話す姿は親に縋る子供のようだ どうしてこうなってしまったのだろう、誰がこうしたのだろう 「なぁ、今日も俺に誓って」 「…うん。」 「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓います」 『死が二人を分かつまで』 そう言ってゆっくり手を合わせ誓いのキスをする 優しくゆっくり温かく抱きしめててくれるこの瞬間が大好きだ 「ずっと、ずっと一緒に居ような…」 ゆっくり頷き再び目を閉じる 君が望むなら、望んでくれるならここに居よう back |