||| Dec 07, 2023 「この後2人で飲み直さん?」
「いやー、ほんまこの歳なると周りは結婚やらなんやらで肩身狭いなぁ」
あ、焼き鳥おかわりで
そう言って枝豆をつまみながら酒を呷る白石の姿に俺はどことなく親近感を覚えた。
高校時代勉学も運動もできるような完璧人間そうな白石が結婚もしていなくて恋人も居ないなんて一体誰が想像できただろう。同窓会という名の飲み会に居た彼は別の席にいた女性の目さえ釘付けにするほどカッコよくて、男の俺でさえ白石の酔いが回って顔が少し赤らんだ姿に見惚れているというのに。
「自分は恋人とかおるん?」
「え、あ、俺?居ないよ全然ね。それより白石の方が恋人とか居ないの?絶対女性が放っておかないくらいイケメンなのに」
酒をちびちび飲みながら尋ねればうーん、と悩んだように苦笑いする白石
「何て言えばええんやろ、こう……鷹に狙われる気持ちって言えばええんかな。みんな目つき怖いねん」
ああ、それもそうか。白石なんていう好物件喉から手が出るほど欲しいに決まっている。そうなれば争奪戦だろう
「白石は白石で大変そうだな、俺なんか白石と真逆で女性に見向きもされなくてさ」
「嘘やろ、それほんま?」
「ほんとほんと、彼女もできないし女性とご飯にも行ったことなくてもう半ば諦めモード」
どっかに良い出会いでもあればなぁ、と思いつつ脂の乗った肉を頬張る。いっそのこと一生独身でも良いかもしれない、なんて思ってたら
「俺なら、絶対放っておかんけど」
唇についたソースを舌で舐め取りながら彼はこちらを見ていた。
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