禁断の果実


 僕の妹が最近口を聞いてくれない。口を聞いてくれない、というよりかは…なんだか、素っ気ない。

「僕、何かしたかな。」

 今までこんなことはなかったから、不安で仕方がない。でも、いつもと同じように、僕が作るご飯をおいしそうに食べてくれる。
嫌われてはいないのかな?
 そんなことを考えながら朝食を作っていると、彼女が起きてきた。

「なまえ、おはよう。」
「…はよ。」
「ご飯、もうすぐ出来るからちょっと待っててね。」

 なまえは、やっぱり素っ気なくうん、と答えて学校の準備を始める。
 なんとなく感じただけだが今日のなまえは、いつもと少し違う気がした。
 素っ気なさにプラスして、なんだかそわそわしている。

「なまえ、ご飯できたよ。」
「はーい」

 いただきますをして食べはじめると、美鈴が口を開いた?

「お兄ちゃん、あのさ…」

 僕がどうしたの、と聞くとやっぱり何でもないと言われてしまった。
 きっと僕は、久々になまえから話しかけらたけとから、ものすごい笑顔だったのだろう。それにつられてか、なまえも微笑んでくれた。

 ご飯を食べ終わると、ちょうど美鈴の友達が迎えに来たようで、なまえも学校へいった
 僕も食器を片付けて、学校に向かった。





 その日は先生に頼み事をされて、帰りが遅くなってしまった。
 なまえが、お腹をすかせて僕の事を待っているかもと思うと、うれしくなった。


 家は、何故か真っ暗だった。

「なまえ、いないのかな?」

 なまえがいないかと思うと、ものすごく悲しくなった。なまえのことを考えるだけで、こんなにころころと感情が変わる僕は、ある意味すごいんだと思う。


 リビングに入り電気をつけると、横からパァーンッと物凄い音がした。
 僕は驚いて、呆然とその場に立ち尽くしていた。
 今の音…何だろう?そう思い、慌ててあたりを見回す。

 リビングは折り紙で作った輪とかでキレイに飾り付けられていた。テーブルの上には、おいしそうなケーキやら僕の好物が、たくさん並んでいた。そして、さっきの音は僕の真横にいるなまえの手に握られているクラッカーの音だった。

『お兄ちゃん、お誕生日おめでと!さ、座って?』

 僕はなまえに言われるがままに、席に座る。
 すっかり忘れていたが、なまえのおかげで思い出す事が出来た。
 今日は僕の誕生日だ。
 最近はななかカレンダーみる時間もなかったからな…

「もしかして、最近なまえの様子がおかしかったのも、僕の誕生日が近かったから?」
「あちゃー、ばれちゃってたかー。」
「ふふっ、でもよかったよ。もしかして嫌われちゃったんじゃないかと思ってたんだ」

 僕がそう言うと、なまえは少し照れたように、そんなことないよと否定した

「あたしが、お兄ちゃんのこと嫌いになるとか、ありえないもんっ」

 ぽつりと呟いたこの言葉が、僕の耳に届いたとき。


 僕はなまえを抱きしめていた。



禁断の果実



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