禁断の果実
僕の妹が最近口を聞いてくれない。口を聞いてくれない、というよりかは…なんだか、素っ気ない。
「僕、何かしたかな。」
今までこんなことはなかったから、不安で仕方がない。でも、いつもと同じように、僕が作るご飯をおいしそうに食べてくれる。
嫌われてはいないのかな?
そんなことを考えながら朝食を作っていると、彼女が起きてきた。
「なまえ、おはよう。」
「…はよ。」
「ご飯、もうすぐ出来るからちょっと待っててね。」
なまえは、やっぱり素っ気なくうん、と答えて学校の準備を始める。
なんとなく感じただけだが今日のなまえは、いつもと少し違う気がした。
素っ気なさにプラスして、なんだかそわそわしている。
「なまえ、ご飯できたよ。」
「はーい」
いただきますをして食べはじめると、美鈴が口を開いた?
「お兄ちゃん、あのさ…」
僕がどうしたの、と聞くとやっぱり何でもないと言われてしまった。
きっと僕は、久々になまえから話しかけらたけとから、ものすごい笑顔だったのだろう。それにつられてか、なまえも微笑んでくれた。
ご飯を食べ終わると、ちょうど美鈴の友達が迎えに来たようで、なまえも学校へいった
僕も食器を片付けて、学校に向かった。
*
その日は先生に頼み事をされて、帰りが遅くなってしまった。
なまえが、お腹をすかせて僕の事を待っているかもと思うと、うれしくなった。
家は、何故か真っ暗だった。
「なまえ、いないのかな?」
なまえがいないかと思うと、ものすごく悲しくなった。なまえのことを考えるだけで、こんなにころころと感情が変わる僕は、ある意味すごいんだと思う。
リビングに入り電気をつけると、横からパァーンッと物凄い音がした。
僕は驚いて、呆然とその場に立ち尽くしていた。
今の音…何だろう?そう思い、慌ててあたりを見回す。
リビングは折り紙で作った輪とかでキレイに飾り付けられていた。テーブルの上には、おいしそうなケーキやら僕の好物が、たくさん並んでいた。そして、さっきの音は僕の真横にいるなまえの手に握られているクラッカーの音だった。
『お兄ちゃん、お誕生日おめでと!さ、座って?』
僕はなまえに言われるがままに、席に座る。
すっかり忘れていたが、なまえのおかげで思い出す事が出来た。
今日は僕の誕生日だ。
最近はななかカレンダーみる時間もなかったからな…
「もしかして、最近なまえの様子がおかしかったのも、僕の誕生日が近かったから?」
「あちゃー、ばれちゃってたかー。」
「ふふっ、でもよかったよ。もしかして嫌われちゃったんじゃないかと思ってたんだ」
僕がそう言うと、なまえは少し照れたように、そんなことないよと否定した
「あたしが、お兄ちゃんのこと嫌いになるとか、ありえないもんっ」
ぽつりと呟いたこの言葉が、僕の耳に届いたとき。
僕はなまえを抱きしめていた。
禁断の果実
prev next back