※R18注意
 *キャラ崩壊が激しいです










 ――女の子にあって男の子
 にないものって、何だと思
 う?






 「あっ、やぁぁ、ア、っ!
 」
 「やじゃ、ねぇだろ、がっ
 」
 「ひっ、ああああ!!」


 もう何度目かなんて忘れて
 しまうくらいのこの行為。
 俺のいいところを知りつく
 した彼の動き一つひとつが
 、確実に俺を絶頂へと追い
 やっていく。

  元々この関係は、喧嘩の
 延長線だった。誘ったのは
 、俺。『一回でもどう?』
 『どうせ経験なんてないん
 だろ?』そんな安っぽい言
 葉だったと思う。それに彼
 はのって、一回だけのはず
 の行為も気がついたら二回
 三回とずるずるいってこの
 有様。最初は拙かったシズ
 ちゃんの愛撫も回数を重ね
 るごとに上手くなっていき
 、ただの遊びだったはずの
 俺の心も、今じゃ様変わり
 してしまっていた。ホント
 に、何やってんだか。

 彼とこうして身体を交える
 ようになってから、心と同
 じく俺の身体も変わってい
 った。以前までは乳首を摘
 まれても耳を舐められても
 、後孔に突っ込まれても、
 感じることなんてなかった
 。ただただ気持ち悪いとし
 か思わなかったのに。それ
 が今ではこのザマだ。彼が
 前立腺を突く度に浅ましい
 この身体は悦び跳ねる。

 愛なんてないこの行為に、
 まるで何かを期待するかの
 ように。

 彼に愛されていると、錯覚
 させるように。


 「っ、なに、考えてる」
 「ふっぁ、べつに、しずち
 ゃ、のこと…だ、ぁよ」
 「……嘘つけ」
 「嘘じゃなっぁあああ…!
 ゃっ、激し、ぃ、てば、っ
 あ、ぁあ……ッ!」


 うそなんかじゃないのに。

 そんな否定の言葉は、意味
 のない喘ぎ声に変わってぐ
 ちゃぐちゃという結合部の
 水音と共に二人だけの部屋
 を満たす。やだな、この声
 嫌いなのに。でも彼がこの
 声を好きだと言ってくれた
 から、俺は嫌でも我慢する
 んだ。シズちゃんが唯一好
 いてくれた“俺”だから。
 男である俺が、女みたいな
 高い声で喘ぐのは恥ずかし
 くて嫌だけど。

 だって俺は、女の子じゃ、
 ないのだから―――…。


 「くっ、中に、出すぞ…!
 」
 「へ……? ゃっ、やだ!
 中はやだ!」
 「あ? 何でだよ」
 「だって……」


 だって、女の子じゃないか
 ら。
 中に出したって意味がない
 から。命を育むことも、そ
 れを授かった喜びも、隣で
 一緒に笑ってくれる人も、
 ありはしないから。ただ虚
 しさが残るだけだから。
 せめて俺が女の子なら、こ
 の行為にも意味をきたす事
 が出来るのに。そしてもし
 も彼との子供が出来たなら
 、シズちゃんだってずっと
 俺と一緒にいてくれるのに
 ……。卑怯な考えだけれど
 、それくらい俺は彼のこと
 が好きになってしまってい
 た。

 それが例え、どうしようも
 ないほどに一方通行な愛だ
 ったとしても。


 「――…っとにかく、嫌な
 ものは嫌だから。イくなら
 、抜け、よ…!」
 「………いっつも手前はそ
 う言うよなァ……でもよぉ
 臨也、考えてみりゃあ俺が
 手前の言うことを聞いてや
 る義理なんざどこにもねぇ
 よなぁ?」
 「え、うそっ、まさか……
 やだ、やだやだやだ!抜け
 、抜けよ!」
 「却下だ。たっぷり味わえ
 、よッ!」
 「やだ、ゃっやぁあああア
 !!」


 いつもはいやって言ったら
 ちゃんと抜いてくれる。だ
 からコンドームだってつけ
 ないし、もちろん今日もつ
 けていない。それは一種の
 彼への信頼でもあったのに
 …。それなのに今日は必死
 に拒絶しても聞く耳を持た
 ず、やがて俺の中で熱いも
 のが爆ぜた。
 サイアク。嫌だって言った
 のに、この鬼畜野郎。奴の
 放ったもので中が熱い。ど
 んだけ溜め込んでたんだよ
 。後で絶対に殺してやる。
 無駄に死んでいった精子の
 数だけ、殺してやる。最悪
 だ。もし俺が女の子なら、
 最高の瞬間、なのかな。あ
 ー…ほんと、サイアク。


 「どうだよ、大嫌いな奴に
 中出しされた気分は。……
 あ? はっ、なんだよ、い
 やいや言ってたわりには手
 前だってイってんじゃねぇ
 か。そんなによか――…」


 最悪だ、こんな奴の前で。


 「…………ぅっ、ひっ、く
 、うぁ、あ、くっ…、」
 「――――…っ!?」


 仮にも好きな人の、前で。


 「やっ、やだぁ!、なんで
 …なんでだよ、なんで……
 うぁぁあ、っ、」
 「臨、也……?」


 ああ、もうやだ。いい大人
 が、セックスで中出しされ
 たくらいで不様に泣くなん
 て。シズちゃんだってこん
 な面倒臭くて気持ち悪い奴
 、愛想を尽かしてしまうに
 決まってる。中に出された
 からって別に孕むわけでも
 ないのに。

 だって俺は、女じゃ、ない
 んだから。


 「――…っ、悪い。泣かせ
 るつもりは、なかったんだ
 ……。そんなに嫌がるとは
 、思って、なくて」
 「あっ、ぁああ、なんで、
 なんでおれ……女じゃ、な
 っ、」
 「女……?」


 なんで女じゃないんだろう
 。
 なんで好きになったのがシ
 ズちゃんなんだろう。
 なんでシズちゃんは、俺を
 好きになってはくれないん
 だろう。

 色んな思いがグチャグチャ
 になって、でもとにかく嫌
 で悔しくて苦しくて、もう
 わけも分からずに泣いてい
 る俺を。シズちゃんは優し
 く抱きしめてくれた。きっ
 とどうすればいいか分から
 なくて、混乱していたんだ
 と思う。ただの同情か煩い
 口を塞ぎたかったのか、ど
 んな理由だったとしても、
 それは俺にとってすごく嬉
 しいことだった。

 今だけの彼の優しさに、今
 だけは縋ることにする。シ
 ズちゃんの温かくも逞しい
 腕に抱かれながら、俺は子
 供のように、わんわん泣い
 た。







 ――――――――――――


 どうもエロの描写が書けな
 い。そして温い。れ、練習
 します。

 あ、一応続く予定でござい
 ます。




 (20110406)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -