※裏注意!






「シズちゃ、ぁん、シ、たい…!」
「…………はい?」




maple kiss




折原臨也という男は全く以って、罪なほどに可愛い。黒を基調とした髪や服装とその肌の白さのコントラストは眩むほどに美しいし、整った顔立ちとぷっくりと浮かぶ桜色の唇は無意識に吸い付いてしまいそうなほど可憐だ。
そんな臨也と俺が付き合っているなんて今でも信じられないが、何度自分の頬を抓っても夢が覚める気配は無い。その度に俺は現実なのだと再認識し、口元を緩ませる。あの臨也のすべらかな肌を、繊細な痩躯を、全て俺のものとできたのだ。可愛い臨也。傷なんて絶対に付けないし付けさせない。嫌がることもしない。そう誓ったのは付き合いが決まった瞬間の事だ。
だから臨也を抱くなんてもっての他。嫌がられることも考えてキスだって今まで一度もしたことが無い。せいぜい手を繋いで歩くか(それすらも臨也を傷つけないかと不安ですぐに手を離すが)、肩を貸し合って一緒にうたた寝をするくらい。それらしい事は……怖くて、出来ない。臆病者だと言われても構わない、俺は臨也を傷つけなければそれでいいのだから。

そんな思いで臨也との恋人生活を過ごして調度半年。その日俺は、臨也に呼ばれて奴のマンションへと足を運んだ。そして部屋のロックを解除してもらい扉を開けた途端雪崩れ込んできた臨也の熱い体と共に、冒頭の台詞を言われたのである。


「シズちゃ、ぁん、シ、たい…!」
「…………はい?」


思考が白に染められたのは言うまでも無い。臨也を抱きしめたままフリーズしてしまった俺に焦れたのか、臨也はぐいぐいと室内に引っ張り手近なソファへと俺を押し倒し上へ跨る。逃げられないぞと言うかのようにオートロックの扉がガチャリと音を立てて閉まった。その音が俺を現実へと引き戻し、遅すぎる警告を脳が放つ。


「お、おい待てって! 落ち着け臨也」
「んぅ…ぁ、何で……シズちゃん、いや? やっぱり俺のこと、抱きたくない…?」
「はぁ!? いや抱きたくねぇ訳じゃ……って待てベルトを外すな!」


ここに来た時からずっとだが、臨也の体が発熱しているみたいに熱い。いつもは澄んでいる瞳も今日は潤んで、濁っているようにも見えた。
それはまるで以前AVで見た娼婦のように扇情的で性を駆り立てる、俺にとっては毒としか成りえない姿。普段の臨也がこんな行動に出るなんてどうやっても考えられず、現実逃避するための材料を必死になって探すと目に映ったのは何とも怪しげなカラの瓶。それは無造作に、机の下へと転がっていた。


「新羅がねぇ、シズちゃんとセックスしたいって言ったらアレ、くれたんだよ」
「…あんの闇医者」
「俺もぅ体熱くて、きもちいことぁっ、いっぱいしてほしいよぉ……!」
「お、おいって!」


相手が臨也というだけでこんなにも無力になる。制止しようにもその過程で臨也を傷つけてしまうのが怖くて強くは出来ない。触れるのを躊躇った俺に臨也が少しだけ寂しそうな顔をしたように見えたが、それもジーっというチャックを下ろす音が聞こえると余裕と共にどこかへ行ってしまった。下を見ると案の定股間に顔を埋める臨也が目に入る。臨也はボクサーパンツを押し上げる俺の息子を見て、それはそれは嬉しそうに笑った。


「あはっ、シズちゃんのおっきい……俺がもっとおっきくしてあげるね」
「は? ちょっと待っぅ、あッ」


布越しにちゅうっと吸い付かれた後ついにあらわにされた俺の性器は、すぐに熱いくらいの粘膜に包まれた。内頬で擦られ、先走りを舌でねっとりと舐め取られ時には鈴口をじゅるりと吸われる。どこで覚えたのか臨也はかなりフェラが上手かった。ビクリと脈打った性器は一層大きく臨也の口の中を満たす。


「うッぁ…っあ」
「んっんん……ンむ、ン」

限界は、自分でも驚くほど早くにやってきた。視覚的にも感覚的にも、性を駆り立てる要素が余りにも多すぎたのだ。ビュルルッと暴れながら精液をばら撒いた性器は臨也の口を離れ、精液は真正面の臨也の顔へと飛び散り白く汚した。我慢し切れなかったことを謝るべきにも関わらず、俺ので汚れた臨也から目が離せなくて声が出ない。さっき萎えたはずの性器がまたドクリと脈を打ち、ペロリと口端の精液を舐め取ったその姿にまた芯を持った。


「んぁっあは、もぅおっきくなっちゃった」
「――――ッ」
「ねぇ、今度はこのおっきぃの、俺のここにちょうだい? 俺も…はぁ、きもちよくなりたい」


恍惚として熱い吐息を吐いた臨也は自らもズボンとパンツを脱ぎ捨て、今まで人の目に触れたことも無いだろうそこをくぱりと開いた。綺麗なピンク色をヒクつかせて男を誘うそこは、俺のを早く食まんとばかりに収縮し錯覚的な匂いを放ってくる。甘い、酔いそうな匂いにくらりと揺れた。


「っだめ、だ。すぐは…心の準備、とか、いるだろ。慣らすもんなしじゃ手前も痛ぇだろうし」
「俺は、大丈夫。一人でスるときはぁっ、しつでもシズちゃん、できるように、下も、触ってたから、平気、だよ? それに、アっだめ、おれもっがまん、できない……!!」


ビクリと一度大きく跳ねた臨也は、あろう事か俺の上で自分の乳首を弄り始めてしまった。臨也が乳首をぎゅうっと摘む度に「あっ」とか「あん!」とか変な声を上げるものだから、自然と俺の視線は乳首へと釘付けになった。ただ呆然と乱れた姿を眺める俺がビクっと我に返らされたのは他でもない、臨也が再び俺の性器に触れたからだった。

思い出したかのように、体が動く。やっぱり止めようと、この行為を制止させる為に。しかしその矢先、性器の先端が温かいものに包まれ、一転して俺の動きは止まった。


「ぁ? なに…っぁ、くッ」
「あんっあひ、んぁあ、きもちっ……ぃ! さきっぽ、だけなのに…すご、」


いつの間に動いたのか、亀頭部分だけが臨也の中に埋められている。それだけで一気に射精感が込み上げた。初めて味わった与えられる快感と、臨也の甘い言葉。


「全部入れたら…きっともっと気持ちいよぉ……シズちゃん、ね?」


それに、俺の中で保っていた理性の二文字がガラガラと音を立てて崩れ去っていった。





――そこからの展開は早かった。乗っかったままの臨也をソファへと押し倒し、中途半端に入っていた性器を奥まで押し込む。それだけで臨也は一回イッた。キュンキュン締まるそこが気持ちよくて、臨也が落ち着くのも待たないまま律動を開始する。待って、待ってと濡れた声で叫ばれていた気がしたが、全く聞こえていないフリを決め込んだ。
今まで怯えていた自分が嘘みたいに思える。俺の下で喘ぐ臨也が、ずっとこうしたかったと途切れ途切れに呟いて、求めるように手を伸ばすのが見えた。


「しずちゃん、シズ、ふぇ、ぇァ…あっあぁ」
「可愛い、臨也……キス、してもいいか?」


問えば濡れた瞳がこくりと揺れる。こんな行為にまで及んでおきながら、キス一つするのにも爆発しそうなこの心臓。臨也もそうであればいい。

重なった互いの唇と心音は甘く甘く、静雄の望みを叶えたことを伝えていた。










――――――――――――

いーちゃん様のリクエストでした!

書いてる途中誘い受けか襲い受けか分からなくなってしまって、何回か試行錯誤を繰り返して出来上がったのがこちらの作品になります(笑)

ヘタレってなんだっけとか、その他の書き方等、多くの事を学ばせて頂きました! ありがとうございます^^。

リテイクありましたら何でもどうぞ! リクエスト、ありがとうございました^^!


(20111210)
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