究極メカ丸編








そこにいたのはメカ丸だった。

彼の手にあった、ノートの切れ端に私は思わず息を呑んだ。


「これを探していたんだろう?」


それを差し出して来た彼に、私は受け取るのを少し迷ってしまった。
だって、少し聞いてみたかったから。


「……持っててどうもなかった?」
「本体は別にあるからな。問題ない」
「そう、良かった」


そこで私はやっとメモを受け取る。
ダメだと分かっていても、少し聞いてみたかった。そう思いながら、メモを破った。


「いいのか?」
「最初から、こうするつもりだったし。それに、メカ丸に効果がないなら、意味ないかなって」
「……そうか」
「でもどうして分かったの?私が探してるって」


沈黙した彼に、私は機械の瞳を覗き込む。
「故障した?」と冗談を言ってみれば、彼はいや、とやっと言葉を発した。


「授業中、そのメモを見ていたのも、落としたのも見た。隠しているようだったし、他人に見られたくないのかと思ってな、声を掛けるタイミングを失っていた。だから俺もオマエを探していた」
「そっか、メカ丸はよく見てるなぁ」


彼は優しくて、よく人を見ていて、気遣える人。
本体の彼はどんな姿をしているのだろう。どんな姿であっても、私は……いいや、彼はきっと、どんな人間に対してもそれが出来る人。

そして、特別な感情は私にではなく、きっと別の人に。


「……ありがとう。大事にならなくて良かった。先生達には内緒ね!」
「あぁ」
「それじゃあね!」







メカ丸は彼女の少し寂しそうな笑顔と背中を見送った。
機械越しに見えた、不可視インクで見えた文字。


『この紙に触れた人間の本音が聞ける』


俺のどの本音を聞き出したかったのか、と考える。
その答えを知らない彼は、秘密を抱える自分に効果がなくて良かった、と安堵したものの、シコリが残ったまま、彼女に真意を問いただせず、思考を巡らせるだけだった。








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